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『Sea of Stars』レビュー

    
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『Sea of Stars』レビュー

JRPGインスパイアRPG『Sea of Stars』をクリアしたので書いた!

プレイ時間45時間

結構がっつりプレイしました。エンディング後に解放されるトゥルーエンディングを経て、さらにあることを行うことで辿り着けるシークレット要素もお目にかかりました。実績全解除とまではいきませんでしたがSea of Starsのほぼ全てをしゃぶり尽くせたんじゃないかな。プレイしてて一番楽しかったのはバトルでした。

シンボルエンカウントからシームレスにターンベースバトルへ移行します。パーティー内の行動順は自由、バトル中でも無制限に待機メンバーと入れ替えOKという特徴を有してます。なのでプランを組み立てやすく、とれる行動の選択肢が多い、というのが大枠としてあります。

その内容を濃いものにしてる要素が3つあります。1つ目はボタンアクション。攻撃・被弾時にタイミングよくボタンを押すことでより良い効果を得られるというものです。そのタイミングはプレイヤー自ら見つけていくしかありません。中には1つのスキルに複数のタイミングが隠されてたりと思いの外難しい。癖のあるリズムを観察し、失敗し、体で覚えていく。そういった数値の積み重ねでは得られない成長体験ができたのが意外だったし楽しかったなと。さらにその成否は後述するロックシステムという戦術要素にも影響を及ぼします。大きなウェイトを占めるわけではありませんが、ボタンアクションの体得が戦術の有効性に繋がるのは新鮮でした。

2つ目は通常攻撃。本作の通常攻撃はただの通常攻撃で終わらなく、その利用価値は大きいと言えます。通常攻撃を敵に食らわすと「生マナ」という魔法エネルギーが戦場に飛び散ります。その飛び散った生マナを後のターンで回収することで通常攻撃に属性が付与され、さらにスキルが強化されるという仕様になってます。多く回収するほど性能が上がり、また一度に回収する個数は調整が可能。つまり先の展開を見据えたリザーブができるわけです。属性効果もロックシステムに絡んでくるため、通常攻撃のタイミングと生マナの運用は戦局を左右する重要な要素となってます。

3つ目はロックシステム。バトルの主導権を争う駆け引き的要素です。戦闘中、敵が強力なスキルを発動する準備態勢に入ると「打撃」や「毒」といった属性のアイコンが連なって表示されます。ロックシステムとはその提示された属性を発動までの間に当てることができれば、その威力を緩和させられるというもの。提示された全てを当てることができればボスであろうと発動は不発に終わります。勝利のため目指すべくはやはり発動の完封であり、プレイヤーは提示された属性をいつでも放てるよう準備しておくのが望ましい。そのためには上で挙げたボタンアクション(ボタンアクション成功で追撃発生→複数潰せる)と生マナの計画的運用に加え、残MPや行動順の計算、メンバー構成といった基本戦術が必須となります。一つ一つの行動が集約するという点で優れたシステムだと思います。最後まで飽きずにSea of Starsを楽しめたのはロックシステムがあったからこそですね。

一方、戦闘面で気になったのが「逃げる」コマンドが無いこと。戦闘を飛ばしたいときだってあります。本作には「秘宝」と呼ばれる難易度を調整する仕組みがあり、それは上述の戦闘システムを無視することすらできる救済措置のようなものと言えます。そのようにプレイ体験をカスタマイズできる親切設計になってるにも拘らず、お馴染みの「逃げる」コマンドが無いってどういうことでしょ?主人公達の「逃げない!」という強い意志は感じられますが…(そういうこと?w)。

グラフィックが抜群に良いです。あらゆるシーンで映える緻密で美麗なドット絵は癒しですらありました。じっと観察したくなる魅力があります。見応えあるアニメーションもたっぷり用意されてますね。耳に残るBGMと爽快なSEも盛り上げ役に一役も二役も買ってます。

ダンジョンに関してはイマイチでした。挑戦しがいのあるパズルに期待してたんですが、あまり登場しませんでしたね。登場しても簡単過ぎだし、ダンジョンの内のギミックもとくに捻りは無く単調です。一部のダンジョン攻略は本当に退屈な時間でしたが、「虹の巻貝」という収集アイテム探しがモチベーションに繋がりました。

ゲーム体験に彩りを添えてくれる2種のミニゲームについて。釣りは内容だけ切り取ると蛇足と言えなくもないですが、息抜きできる時間も長い冒険には必要だと私は考えてるので全然アリです。もう一つのミニゲームであるホイールズというボードゲームはよく練られてて、これだけで一本のタイトルとしていけそうなデキです。ホイールズの最後の相手がめちゃ強くてラスボスより白熱しちゃった。

シナリオに関しては「ごちそうさまでした。美味しかったです。」と言いたい気持ちがある一方、今一つ感情移入できなかったのも事実。ドラマチックな展開はあるんですがどこか腑に落ちない感じ。最初はやたら主張してくるガールの存在感のせいかと思ったんですが、これ主人公ズが原因ですね。ヒーローとしての役割だけが描かれていて、それを支える一個人としての人格がずっと不明瞭なんですよ。テキストから読み取るにしても表現が乏しいし、他のメンバーほど掘り下げられることもない。結局この物語の主人公はどういう人物なのか、どういう気持ちで歩んできたのか、そこが未だによくわからんのです。そんなぼんやりとした存在が2人もいるんですよ。

ガールというトリの引き立て役に成り下がってないか?

なんやかんや書きましたが、総じてめっちゃうまくまとまってます。代表的なレトロRPGのオマージュ要素が散りばめられてる本作ですが、しっかりと”Sea of Starsという体験”に昇華されており、その節々からは開発陣の真摯さが伝わってきました。いちRPGとして高品質だし、メインストーリーを追う以外にもいろいろ用意されてたりとボリューム面でも大変満足。私のお気に入りはやはりバトルシステムとホイールズですね。頭を使えて面白かったです👍

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