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オープンワールドARPG『BIOMUTANT (バイオミュータント)』レビュー。モフトアポカリプスに没入せよ

    
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オープンワールドARPG『BIOMUTANT (バイオミュータント)』レ...

オープンワールド・アクションRPG『BIOMUTANT (バイオミュータント)』のレビューをば。

本作のレビューをするにあたり、THQ Nordic Japan 株式会社様よりSteam版を先行プレイする機会をいただきました。プレイ時間は30時間弱、エンディングを迎えたタイミングでのレビューとなります。ストーリーに関するネタバレは避けてます。

バイオミュータントの概要

ジャンルオープンワールド・アクションRPG
対応プラットフォームPC・PS4・Xbox One(PS5・Xbox Series X/Sでもプレイ可)
日本語実装日本語字幕・音声あり
価格7,600円
開発Experiment 101
パブリッシャーTHQ Nordic

BIOMUTANTは、文明崩壊後の世界を舞台にしたオープンワールド・アクションRPG。ユニークなマーシャルアーツと剣術や射撃、ミュータントの特殊能力を組み合わせたバトルが楽しめる。

大地は病み、生命の樹はその根から弱り死にかけている。種族は分断し対立。混迷する世界を探索し、その運命を決める者は、果たして救世主か、それとも世界をさらなる闇に突き落とす破壊者か……

Steamストアページより抜粋
世界の紹介トレーラー。字幕設定オンで日本語字幕が表示されます。

それでは本作を構成する要素にフォーカスしつつ感想を綴っていきます。

装備のカスタマイズ性の高さと戦闘スタイルの豊富さ

装備類のカスタマイズ性の高さと戦闘スタイルのバリエーションの豊富さは、バイオミュータントの最も特筆すべき点だと感じた。どれだけの要素をカスタマイズできるのかざっと書き出してみよう。まずは操作キャラの育成に関して。

  • キャラクリエイト時に6つのクラスから選択(予約特典含む)。それぞれ近接や銃撃特化、サイ(魔法みたいなもの)特化などの特徴を持ち、クラス独自のスキルが用意されている。
  • キャラクリエイト時にクラスの基本性能を踏まえた上で各ステータスの調整が可能。バランス重視でもいいし一点集中でもいい。
  • レベルアップや探索を通じて入手できるアップグレードポイントが3種類用意されている。近接、遠距離といった各戦闘能力を始め、コンボコマンド、特殊スキル、属性耐性など使い道は多岐にわたり、方向性の幅は広い。

次に装備類のカスタマイズについて。

  • 装備部位は頭・顔(マスク)・胴・下半身・右肩・左肩・バックパック。武器は右手のみ。二刀流に育成すれば左手もアンロックできる。
  • 近接武器には片手または両手で扱う刃物、鈍器、格闘具などが用意されている。ゲームの進行次第では新たな武器種を入手できる。
  • 遠距離武器にはピストル、ライフル、マシンガン、ショットガンが用意されている。こちらも進行次第で新たな武器種を入手。
  • 装備品に細かいパーツを装着したり、各所のワークベンチで素材を消費し改造することによりさらなる強化を図れる。
  • 道中見つかるいくつものパーツを合体させていき、一から武器をクラフトすることもできる。完成後も1パーツごといつでも換装できる。

本作では陸上用や水上用など多彩な乗り物が登場するが、それらもカスタマイズが可能。

  • ビークルメカの各部位のパーツが探索により手に入る。
  • パーツの換装により今まで行けなかったエリアへ入れるようになったりする場合も。
  • 各地に生息する多様な野生生物に餌付けすれば騎乗できるようになる。また騎乗生物は各拠点でも販売されている。一度騎乗した生物はメニューからいつでも切り替えられる。

ジェットスキーと主人公の頭防具がおそろいになってしまった。

戦闘スタイルのバリエーションの豊富さはプレイヤーごとに異なる体験を得られる要素と言えるだろう。どのクラス、どの武器を選んでも個性的でスタイリッシュなアクションを楽しめる。
自分に合った戦法で進めるのはもちろん、飽きたら別のスタイルを試してみたり、何なら探索シーンで役立つスキルを優先して取得したっていい。育成に必要な各アップグレードポイントは探索で入手できるチャンスが多いので、じっくりプレイすればその分育成もじっくりできるようになっている。

プレイヤーの独自色が色濃く出る点としては装備類のカスタマイズもそうだろう。装備類には単純な性能値の他にも体力、サイ能力や、射撃距離、リロードスピードなど様々なパラメータが用意されている。どれを重視するかはプレイヤー次第。最大5つまで装備プリセットを保存できるため、シチュエーションに応じて装備セットを切り替えられるし、お気に入りのルックスを追求したいプレイヤーにも応えてくれる。

これらのいわゆる「身の回り」のカスタマイズ性の高さが、オープンワールドゲームが持つ自由体験の楽しさを底上げしてるのは間違いない。何よりバイオミュータントはRPGと銘打たれている。プレイヤーの独自色が色濃く出るバイオミュータントはロールプレイングの資質を十分満たしていると言える。

屋根の上からひたすらサイを放つチキンプレイ

ちなみに私はサイ能力特化のサイフリークでスタート。ひたすらサイ能力を上げていき、遠距離放出型のサイと銃撃で敵と距離をとって戦う(チキンな)スタイルで進めていた。それでもプレイ後半は大剣とショットガンを担いで敵と肉薄しつつ、敵が密集したところに範囲型サイをぶっ放すというスタイルが定着していた。そういった変遷を楽しめたのもバイオミュータントの高いカスタマイズ性の賜物だろう。

スタイリッシュな戦闘アクションと難易度について

アクションが主軸となる本作ではパリィで反撃に転じたり、技を発動するためコンボを繋げたりといった手に汗握るアクションが楽しめる。そこで重要になるのは操作性だがこれに関してはかなり良好。非常に軽快かつ変な癖もなくスムーズに動かせる。

そんなアクションの大きな特徴になっているのがスタイリッシュな動作。カンフー(作中ではワンフー)とガンアクションを絡めたド派手な攻撃や立ち回りは動かしていてめちゃくちゃ気持ちいい。戦闘スタイルのバリエーションの豊富さも相まって戦闘が飽きるということは全然無かった。

戦闘に関して気になってくるのが難易度だろう。イージー・ノーマル・ハードの3段階用意されており、私は終始ノーマルで進めていたが、ハードでも良かったかも、とプレイ中は思っていた。というのもあまり苦戦らしい苦戦をしなかったからだ。サイ能力に全振りしたのがいい方に働いていたのかもしれない。プレイヤースキルに左右されるアクションゲームの側面もあるが、根底にあるのは数値のやり取りを行うRPGだ。装備次第でも難易度が変わるとみていいだろう。

後になって気づいたが難易度はオプションからいつでも変更できる。ボス戦はアクション性が高い展開になるので難しく感じたら利用してもいいかもしれない。

世界観と探索要素について

オープンワールドなら見逃せない点が世界観、そして探索要素。これに関しては大満足。私がポストアポカリプティックな世界が好きなのが多分に上乗せされてるが、大自然溢れる世界で前文明の名残を感じつつ旅するのは本当にテンションが上がる。そして出くわす人々、襲いかかってくるモンスター、みなモフモフ。何だこの素敵な世界は!?
そんなバイオミュータント世界の特徴を挙げてみよう。

  • ビビッドな色使いの大自然が美しい。
  • モフモフ。
  • ルートの配置が多いので探索しがいがある。
  • レアリティの出現確率のバランスは良いと思う。
  • 一部のアビリティでしか行けない箇所があったり、特殊な武器をアップグレードしないと壊せない壁が存在したりと探索にも準備が必要になる場合も。
  • 特殊な防護スーツを装備しないと長時間の滞在ができない汚染ダンジョンやバイオームが存在。
  • ひとつひとつのロケーション探索に要する時間は短い。
  • パズル要素が用意されているが構成がシンプルでどれも簡単。個人的にはもっと歯ごたえが欲しかった。
  • 道中の露店から各地の村々、各派閥の拠点までNPCの生息圏は多々あり、彼らから豊富に用意されたクエストを受注できる。街道で出会う通行人からクエストを受注できる場合もある。
  • 敵・味方・モンスター問わずNPC同士が乱闘してるシーンを稀に見かける。観察が楽しい。
  • テンション高まるシーンを撮影できるフォトモードの実装は大正解。主人公にポーズをとらせたり、漫画効果音の素材を使えたら一層良かった。パーティクルエフェクトが反映されない点、状況によって姿勢が解除されてしまう点が少し残念。

↑いずれもフォトモードで撮影

オーラシステムとトライブ戦争

本作が持つ大きな特徴にオーラシステムとトライブ(派閥)戦争がある。どちらもストーリーに大きく関わる重要な要素だ。

【オーラシステム】

プレイヤーはプレイ中、幾度となく選択を迫られる。出会う人々との会話の中、捕らえられている捕虜の処遇、野生生物のキャッチ&リリース…選択次第で徐々に光と闇のどちらかのオーラに染まっていくことになる。人々の反応が変化するのみならず、サイの取得にも違いが生じ、最終的にストーリーの結末に影響する。

光と闇どちらもメリット・デメリットがとくに無いので好きな方を選べばいい。オーラシステムはポイント制になっており、例えば最初は光に染まってたけど途中から闇ポイントを稼ぐことにより闇に鞍替えすることが可能。あまり悩まずに気軽に取り組むといいだろう。

ちなみに私はずっと闇一辺倒。泣く子も黙る鬼のような主人公になってしまった😏

【トライブ戦争】

世界には6つのトライブが存在し、それぞれが光と闇どちらかの信条を掲げ他トライブと縄張り争いをしている。トライブに加入するとトライブ戦争が開始され敵対するトライブの拠点に攻め入ることができるようになる。拠点を落とすと周辺地域を自トライブの支配下に置くことができ、味方の戦士たちが支配地域を警備するようになる。

数多のゲームで採用されてきたトライブ間の抗争は、生き生きとした世界を演出するのに大きな役割を果たすし私も大好きなシステムだ。しかし本作のそれはこちらが攻め入るケースしかなく一方的で単調な印象を受けた。もし次回作を予定してるのであれば巡回兵同士の偶発的な戦闘や自拠点の防衛といった、もう一歩前進したシステムに期待したい。

ボリューム

これ結構気にされる方は多いんじゃなかろうか。
参考までに私の場合、33時間ほどのプレイでエンディングまで漕ぎ着けた形となるが、進行状況を見てみると45%だった(ゲーム中に確認できる)。それなりに寄り道にも精を出したつもりだったが半分に届いてなかったわけだ。これをどう見るかは人次第だが、個人的には満足いくボリュームだと感じている。プレイ時間に関係なく、ロケーションの密度の高さ、サイドクエストの多さは感じ取ってもらえるはず。

サイドクエストの消化以外にもクラフトの試行錯誤、騎乗生物探し、お気に入りの撮影スポット探しなど、時間を掛けられる楽しみ方が多く用意されている点は強調しておきたい。

ストーリー

ネタバレを避けるため細かく触れるつもりはないが、メインシナリオや演出に関しては薄味気味。ゲーム中に幾度となく主張されるが、この作品はプレイヤーに結末を委ねるという大前提が存在しているため、そこに至るまでの道程に自分からドラマ性を見出していくのがストーリーの楽しみ方と捉えられる。
主軸が3つ存在し、トライブ戦争、ワールドに散らばるボスの討伐、宿敵との因縁を並行させていくことになる。

強くてニューゲーム

【加筆】
エンディングを迎えるとその時点での主人公の状態を引き継いで再スタートできる「ニューゲーム+」を遊べるようになる。

翻訳に問題がある

日本語訳については課題が残る。ゲームを進める上で致命的な箇所は無いものの、例えば「復讐」が「復習」と間違えられていたり、武器の重量タイプで「軽量」とされるところを「光」と間違えられていたり(Lightを光と訳してしまったのだろう)、文脈が明らかにおかしかったり。イイ声の日本語音声が用意されている分、こういったミスはもったいなく思う。

日本語訳の問題点に関してはTHQ Nordic側も認識しているようで、バイオミュータント日本語ページにて修正が発表されているので今後に期待しよう。

PC版の動作について

今回の私のマシン環境。

  • OS: Win10
  • グラフィック: GTX1060 6GB
  • プロセッサ: Core i7-8700
  • メモリ: 16GB
  • 画面解像度1980×1080

最新のものと比較すると2、3世代ほど前のスペックにはなってしまうが十分快適にプレイできた。フレームレートについては、ゲーム内グラフィックオプション最低プリセットで60fps程度、最大プリセットで30~60fps程度だった。参考までにグラフィックの比較を載せておく。

影、光源、草の量に違いが顕著に現れる。個人的には最低プリセットでも全然キレイ。
水や遠景描写には大きな差は感じられない。桟橋のテクスチャをよく見ると苔の有無が確認できる。

バグ

アクションシーンでのバグには遭遇しなかったが、ショップでの売買時に現在の装備物のチェックマークが外れるというバグが100%起きていた。このせいで装備物を装備してない物と思い込み売却してしまったことが何度かあった。かなり困るので修正希望。

総評

良かった点、いまいちな点をまとめよう。

良かった点

  • 戦闘スタイルの豊富さ。飽きない戦闘。
  • カスタマイズ要素が多い。
  • ルートバランス。
  • 気持ちいいアクション。
  • フォトモード。
  • 美しい世界。
  • 探索面全部。
  • オーラは途中で上書きできる。
  • クエストが多い。
  • 強くてニューゲーム。
  • 前世代スペックでも軽やかな動作

イマイチだった点

  • 一方的なトライブ戦争。
  • ロケーションの攻略にかかる時間が短い。
  • 歯ごたえのないパズル要素。
  • 薄味気味なシナリオ。
  • 問題がある日本語訳。
  • 一部のバグ。

総評。かなり楽しめました。後で未消化部分をじっくり再プレイするつもりです。戦闘よし、カスタマイズよし、探索よしの3拍子揃った秀作です。イマイチな点もたしかにあれど、私はそんなもの霞んで見えてしまうほど没頭できました。ストーリーの厚み不足と問題点が多いローカライズの2点だけでもクリアできてれば文句なしのクオリティだったと思います。

オープンワールドファン、アクションRPGファン、モフモフ愛好家、いろんな方々にオススメしたいですね。とくに私と同じ探索要素を重視する傾向が強い方は一層楽しめるんじゃないかと思います。何より新ジャンル(?)「モフトアポカリプス」な世界観は必見。モフモフなケモノたちがつぶらな瞳で暖かく、ときに殺意を込めて出迎えてくれますよ!

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