『トライン5:ぜんまい仕掛けの陰謀(Trine 5: A Clockwork Conspiracy)』リリース直前レビュ-
シリーズ5作目となるアクション+パズルゲーム、トライン5:ぜんまい仕掛けの陰謀(Trine 5: A Clockwork Conspiracy)をプレイさせていただきましたのでレビューをば。
本作をプレイするにあたりTHQ Nordic Japan株式会社様よりSteamキーを御提供いただいております。
Trine 5: A Clockwork Conspiracyの概要
【ジャンル】 | アクション、RPG、パズル |
【対応プラットフォーム】 | Nintendo Switch™、PlayStation®5 / PlayStation®4、Xbox Series X|S™ / Xbox One™、PC |
【日本語対応の有無】 | 字幕あり |
【価格】 | 4,389円(Steam版) |
【開発】 | Frozenbyte |
【パブリッシャー】 | THQ Nordic |
・世界が賞賛したパズル・プラットフォーム・アクションによる2.5Dワールドでのアドベンチャー
・1人から最大4 人の力を結集(ソロプレイ、ローカルおよびオンライン協力プレイ)
・戦闘とパズルの両方に適用される難易度調整システムが高いアクセシビリティとリプレイ性を実現
・息を呑むグラフィックによって描き出される美しいファンタジー世界
・新しい戦闘システムと緊迫のボス戦
・幻想的なサウンドトラック、お馴染みの声優陣に加えて魅力的な新人も登場
・キャラクター別のスキルクエスト・システムによるこれまで以上の奥深さと多様なプレイスタイル
・「トライン」史上、最も壮大なストーリーと過去作を上回るステージ、パズル、戦いの数々
・自分らしさを表現 – カスタマイズ可能なコスチュームでトラインの勇者たちをドレスアップ
・機械仕掛けの忘却の淵から王国を救え! 悪辣な敵と忘れがたい味方が登場する、「トライン」史上最も魔法に満ちたストーリー
公式サイトより引用
多様なアプローチとそれを受け入れる懐の深さ。やはりトラインは楽しかった
プレイ時間 | シングルプレイで約25時間 |
初めに私のTrineシリーズのプレイ歴について。前作に当たる「Trine4: The Nightmare Prince」を除く1~3をプレイ済みの身です。中途半端なプレイ歴で申し訳ありませんが、Trineシリーズの特徴である物理演算を活かしたパズル+アクションの楽しさは十分に理解してるつもりです。その上でTrine5に臨みましたが…
今作もやはり楽しかった!
美麗なグラフィック、新たな敵、多彩なアクション、そしてなんといっても濃密なパズルの数々。安定のトライン節が両腕広げて待ち構えててくれました。ゲームの終盤に差し掛かるところまでプレイしましたが、遊び応え、ボリューム面、共に大変満足です😋
それではゲーム内容を紹介しつつ主な要素に触れてまいります。
本作は横スクロールアクションを主軸に、道中に配されたパズルの突破と敵との戦闘をこなすステージクリア型のゲーム。毎度お馴染みの顔ぶれとなる騎士ポンティアス、盗賊ゾヤ、魔術師アマデウスからなる3人の操作キャラを切り替えながらゴールを目指します。
3人とも全く異なるスタイルを有しており、その特徴をパズルにも戦闘にも活かして突破口を見出します。各操作キャラクターの特徴は以下の通り。
ポンティアス
初期アクションは剣による攻撃・盾による防御・スタンピング。盾は反射効果も併せ持つため戦闘以外での活用も求められる。
ゾヤ
初期アクションは弓による射撃・ロープによるワイヤーアクション。ロープを張ることで綱渡りできる足場が生まれる。
アマデウス
初期アクションはボックスとボードの召喚・オブジェクトを浮揚させる魔法。召喚したボックス等は足場や橋の構築に、オブジェの浮揚は多くのパズルへの足掛かりとなる。
本作では道中で集めた経験値をアップグレードポイントに変換し、それを消費することで新たなスキルを取得可能。例えばアマデウスの初期状態は戦闘向けではありませんが、召喚魔法や浮揚魔法を戦闘でも活躍できるようにアップグレードさせたり、ポンティアスが盾でサーフィンできるようになったり(楽しいだけではなくトゲ床から身を守れる)と多彩なアクションや効果を追加できます。一度取得したスキルでも全ポイント還元でリセットできるため、性能の確認やシーンに応じた付け外しが気軽にできるのはありがたいところ。
また、道中で発生するスキルクエストをクリアすることでステージ進行上必須となる新スキルを得られます。スキルクエスト中は特定キャラクターのソロパートとなるため、自由が利く3人体制の攻略とはまた違う制限下での攻略を楽しめます。
ちなみにスキルクエストは冒険中に何度か挿し込まれる形で発生。そこに本作が抱える懸念点への対策を感じ取れました。本作は個性的なスキルが多く用意されてますが、その反面とれるアプローチが多い故に一人でプレイしてると思考と操作が煩雑になりがちという懸念があります。一人のキャラにフォーカスすることでスキルを改めて確認できるスキルクエストには、煩雑さを感じたり混乱が生じてきたプレイヤーへリフレッシュできる機会を与えるという側面もあるのだろうと思います。
さて、本作のメインとも言えるパズルがふんだんに盛られたステージ攻略についてですが相変わらず抜群の面白さですね。物理法則に基づいた謎解きや難所の突破には柔軟な発想力と観察力、そして各スキルへの理解が必要となります。総じて一筋縄ではいかない難易度になってますが、必ずしも解き方や行き方は一つだけとは限らないところがTrineならではのユニークな点です。「あれ?なんか行けちゃった!まぁいいか!」なんてラッキー突破もTrineでよく見られる光景。
例えば高所へのアクセス方法ひとつとっても方法は様々。ポンティアスは剣を壁に突き刺して足場に、ゾヤはフックにロープを吊るせるし、アマデウスなら召喚したボックスを積みあげられます。さらにそれらを組み合わせることで可能性はもっと広がります。突き刺した剣と召喚したボックスをロープで結び付け、移動経路にしてしまうことだって可能です。
一見「こんなん行けるか!?」と身構えてしまう難所や、仕組みが不明な装置と出くわしても上記のような工夫でなんとか攻略できてしまう。そう思わせてくれる手段の豊富さと、実際にできてしまう懐の深さがプレイヤーをついついチャレンジさせてしまう理由でしょう。その「ゆとり」のようなものがシリーズが5作も出るほど愛されてきた秘訣かもしれませんね。Trineでしか摂取できない栄養が確かにあるんですよ。
パズルだけではなく探索面が充実してるのもTrineシリーズでは外せない要素です。意外なところにアイテムや小部屋が隠されており、またそこで本筋とは別のパズルが用意されてるケースもあります。寄り道すればちゃんと報酬が待ってます。
ステージで行く手を阻むのはパズルだけではありません。何体もの敵が出現する戦闘シーンも大きな障害となります。敵の攻撃や移動が意外とアグレッシブで、シングルプレイの場合多勢に無勢であることを痛感します。私は終始ノーマル難易度でプレイしましたが、攻撃だけのゴリ押しではいずれ追い詰められてしまう難易度だと感じました。突破するにはアクションに要する瞬発力が求められますね。パズルの時にはあまり必要ない回避と防御も意識する必要が出てきます。
今作のメインとなる敵はタイトルにもある通りぜんまい仕掛けの機械兵になりますが、これがまた遠近隙が無い攻撃を仕掛けてくる厄介な奴らです。その他にもネズミ族の地下ギャングやアンデッド軍団などスタイルが異なる敵が多く登場します。いずれの敵が相手だとしても敵タイプやステージ環境にバリエーションを持たせることで、戦闘シチュエーションの重複をなるべく避けるよう配慮してるのが見受けられました。そのため戦闘に退屈さを感じることはありませんでした。
刺激的な一戦一戦は攻略しがいがあってパズルとはまた違う楽しさをもたらします。何より重要な局面で相対するボス戦はスリル満点。適切なタイミングで適切な行動が求められる、そんな針を穴に通すようなパズル的かつアクション性の高い戦闘が待ち受けてます。
美麗なグラフィックもTrine 5の特徴。色鮮やかないくつものロケーションに目を奪われてしまいました。
多様なアプローチを可能にするキャラ性能と物理法則を掛け合わせた自由な攻略方法を自分なりに、もしくは仲間と共に探っていけるのが本作の醍醐味。今回私が体験したのはシングルプレイでしたが過去作で協力プレイの経験はあります。プレイヤーの数が多いほどスキルの使い方と攻略方法の幅は広がるし、物理がシミュレートされてるが故に起きる不慮の事故もまた増えます(笑)。本作はプレイ人数に応じてパズル難易度が調整される仕様とのことなので、協力プレイやリプレイすることも念頭に置かれて作られた隙の無いタイトルと言えます。一人でじっくりやり込むのも、複数人でワイワイできちゃうのもTrineの魅力です。
改めて思いましたがTrineってゲームが進んでも新たなアイデアや表情を見せてくれるのでずっと楽しいんですよ。とくに今作Trine 5はパズル、戦闘、探索、どの要素も濃いです。シリーズファンの方はいつも以上のTrine体験と出会えるはず。シリーズ未経験者の方にとっても、いつでも可能な難易度変更、過去作との繋がりはほぼ無い、という取り掛かりやすい環境になってます。最新作を機にTrineワールドに挑戦してみてはいかがでしょうか。