『Aquanox Deep Descent』をクリアしたので感想をば。
どんなゲーム?
開発はDigital Arrow、パブリッシャーはTHQ Nordic。
本作は『Aquanox』シリーズのリブート作品で17年ぶりの新作となる。
2015年にクラウドファンディングによる資金調達に成功、2020年10月17日配信開始。
広大な深海を舞台とした、潜水艇によるドッグファイトのようなバトルを楽しめるFPSである。
地上に住めなくなった人類が海中で生活するようになったポストアポカリプスな世界観となっており、プレイヤーはカスタマイズ可能な潜水艇に乗り込み戦闘、探索など様々なミッションに挑みつつストーリーを進めていく。
4人Co-opにも対応しているキャンペーンモードの他、チーム対戦ができるマルチプレイモードが用意されている。
PC版がSteam、GOG.comで販売中。日本語字幕あり。
本作の重厚な世界観や基本システムを紹介する別記事があるので参考にどうぞ。
クリア感想
以前、旧Aquanoxをちょこっとプレイしたことはあったけど途中で積んでしまった過去あり。なので旧作との比較はできないのであしからず。
とは言っても、本作はシリーズのリブート作であり、ストーリー含め内容はほぼ一新されているため旧作を未体験でも全く問題なく楽しめる。
やったね!😆
というわけで本作を構成する要素と感想を書いていきます。
🚢 メカカッコイイ
このゲーム、メカカッコイイ。
プレイヤーの相棒であり敵でもある潜水艇は、このゲームの主役といっても過言ではない。
大きいもの、小さいもの、スピードタイプ、タンクタイプ、様々な潜水艇が登場するが、どれもイケてるんだこれが。
潜水艇とはいうもののデザイン的には航空機やスペースシップのようなデザインとなっており、私が好きなメカカッコイイ感じに仕上がっている。
(もうちょいメカニカル感あればなお良い)
各派閥の大型艦も負けてない。
若干匂わしている”お魚感”はダライアスを彷彿とさせる。どれも個性的で眺めているだけでも楽しめる。
個人的には潜水艇よりも大型艦の方が好きだ。メカカッコイイ!
ついでに潜水艇のコックピットがいい仕事してる。
計器類などがそのままHUDとなるデザインで、ミニマップ、装甲値、残弾数、攻撃範囲、ブースト残量などすべての情報が瞬時に把握できるようになっている。
このおかげでゲーム世界への没入感がかなり高められている。
しかもちゃんと潜水艇ごとに意匠を変えている。こだわりが感じられるポイントだ。







🔧 カスタマイズ
整備ドックでは各潜水艇のカスタマイズが可能。
ボディ、エンジン、シールド、尾翼などを素材と資金を使ってアップグレードしていくことができる。
そうすることにより装甲や旋回性能などを高められるわけだが、”カスタマイズ要素” ということに関してはただそれに尽きてしまうことが少々残念に思う。
カラーリングやタレット類、アビリティの選択はできるものの、基本的には一方通行のアップグレードに終始し、カスタムできる部位や幅は乏しく感じる。
個人的にはもっと奥深い船体カスタムを楽しみたかったというのが正直なところだ。
単純な強化ではなく、プレイヤーが手入れできる部分を多岐にわたらせ、性能のみならず意匠性にもさらなる多様化を施せたらもっと楽しめたのは間違いない。
武器に関しては満足している。
オーソドックスなタイプの武器からユニークなタイプの武器まで登場し、敵との相性や自機との相性を考えて使い分けていくのが面白かった。

🐬 重厚な世界観
本作では”アクア”と呼ばれる海中世界が舞台となる。
そこは暗くて、地形が複雑で、いつ敵対勢力やクリーチャーに襲われるか分からない危険地帯でもある一方、神秘的で、発見に満ちた美しい世界でもあった。
そしてアクアを彩る登場人物、メカ、ストーリー、どれも緻密に描かれており、練られた設定がそれらをガッチリと下支えしている。
美麗なグラフィックを通して描かれる深海での体験は、このゲームならではのものになっており、続きが気になるストーリーも相まって予想以上にのめり込んでしまった。
道中は様々なサブクエストにも巡り合う。
私は一応全てのサブクエストをこなしていったつもりだが、その総量に関しては少々ボリューム不足に感じた。







🔫 戦闘
FPSなのでこれ大事。楽しいですよ戦闘。
左右、上下、前後、あらゆる方向で行われる撃ち合いはドッグファイトやスペースコンバットさながら。これにピンときた方にはオススメだ。
それに加え、加速時の抵抗や魚雷回避など海中ならではの挙動も味わえ、潜水艇ならではの戦闘が楽しめる。
だがここで一つ付け加えておくが、そんな潜水艇ならではの挙動を交えた操作を戦闘でフルで活用するのには、慣れる時間が必要だということ。
敵の攻撃を思い通りに回避したり、深海の複雑な地形を利用してカバーしたりといった戦闘技術は、私自身プレイの積み重ねで発見していくしかなかった。
そこらへんを踏まえるとニューゲーム直後のプレイヤーにとって戦闘面はとっつきづらく思われるかもしれない。
戦闘の面白さを引き立てている一要素として船体による性能差が挙げられる。
「装甲の分厚さを活かして大胆な立ち回りをしよう」、「素早いから機動力をフルに活かそう」等、お気に入りの船を使ったお気に入りの戦い方を見つけていくのがこの作品の醍醐味だろう。
私は遠くの方に見える敵影めがけて狙撃するのが好き😋
あたると快感!
ただ、少々気になったのは搭乗機体がストーリー進行に応じて順番にアンロックされていく方式だということ。
せっかくいろいろ種類があるんだから序盤からある程度選べた方がいいんじゃないかな~、メックものは。複数ある選択肢の中から吟味していくのが楽しいんだから。
カスタマイズの項でも述べたけど、機体いじりに関しては課題が残るといった印象だ。

戦闘といえば敵の存在は捨て置けない。
敵船はほとんどプレイヤーと同規模の潜水艇。派閥ごとに独自色が出てて良いのだが、バリエーションが乏しく少々もの足りなさを感じてしまった。
敵は船だけではなく変異した海洋生物も登場する。
メカではないのでロックオンができず、また思いっきり肉弾戦を仕掛けてくるため、船相手のときとはまた違った対策を講じる必要がある。そこがまたメリハリがついて楽しかったりする。
戦闘難易度がいつでも変更可能な点は嬉しいところ。
私は最初から最後までずっとノーマルだった。何度かゲームオーバーにはなったものの、そのほとんどは戦術の見直しで乗り切れたりした。
ノーマルに関しては易しすぎず、かといって難しすぎずといったちょうどいい塩梅になっていると思う。
🎮 マルチプレイ
ここまでキャンペーンモードについて書いてきたがマルチプレイについても触れてみよう。
…と言っても、私の環境のせいかそれともサーバーの問題なのかは不明だがCo-opモードは野良でいくつものホストに参加を試みたもののプレイ途中で切断され、ほとんどまともにプレイできていない。なんでや!
対戦に至ってはそもそも建てられている部屋が見当たらないのでレビューしようがない。
ちーん😂
まとめ
私が感じた『Aquanox Deep Descent』の一番楽しくて素敵な部分は、なんと言っても海中世界を冒険するという”体験”そのもの。
ひとつひとつの要素を見ていけば、そりゃいくつか気になる点はある。
前述した通り、深みがないカスタマイズ要素とか、他にも日本語訳が「?」な点が見受けられたりとか。
次第に移動が億劫になってきたりとかもあったな(笑)ファストトラベルあってもよかったんじゃなかろうか。
でも総じてこの作品で体験した戦闘、探索、ストーリー、全部まるっと楽しめた。
それは”海中世界”というユニークな世界観が作品全体を包括していることが根底にあるからだろう。
私はそれに存分に浸ることができたが、それができるかどうかでこの作品への評価は変わるような気がする。
まぁ、そういったことを抜きにしてもゲームプレイ自体は固いものに仕上がっているで、最低でも及第点は間違いない作品だとは思う。
最後にざっとまとめよう。
- 味わい深い世界観。ストーリーも大変良い。
- 海中ならではの戦闘が面白い。
- 機体のカスタマイズ要素は薄味。
- シングルでのクリアタイムは16時間程度だった。
ゲームをプレイするにあたっての全体的なメカニックはよくできており、何かが狂ってるとか不必要な要素といったものはとくに見当たらなかった。
私個人の環境では動作的な不具合もとくに生じたりはなく、終始安定してプレイができた。
もし続編に期待するならば全体的なメカニックはそのままに、各要素の拡充が行われると一層素晴らしいものになるだろう。
そんな期待も高まる作品でした。
いつもとは少し違うシューターゲームやメックコンバットが好きな方、ポストアポカリプティックな世界観に浸りたい方、オススメです。