ハンティングゲームの新星『Way of the Hunter』リリース直前体験記
ハンティングゲーム『Way of the Hunter(ウェイ オブ ザ ハンター)』をプレイ。シミュレーション具合がとにかく凄すぎた!
どんなゲーム?
動物たちが豊富に暮らす美しい生息地に囲まれた狩猟ロッジの新しい所有者になろう。広大なオープンワールドを探索し、様々に取り揃えられた銃器で狩猟を体験しよう。一人で完璧な狩りを目指すことも、友達と協力プレイで遊ぶこともできます。
公式サイトより抜粋
ジャンル | 大自然ハンティングシミュレーション |
対応プラットフォーム | PC、PS5、Xbox Series X|S |
日本語実装 | 日本語字幕あり |
価格 | 5,170円(Steam通常版参考) |
開発 | Nine Rocks Games |
パブリッシャー | THQ Nordic |
【発売予定日】
・PlayStation®5パッケージ版 2022年9月8日(木)
・PlayStation®5ダウンロード版 2022年8月16日(火)
・Steam® 2022年8月17日(水)
・Xbox Series X|S™ 2022年8月16日(火)
広大な大自然の中に身を置き、本格的なハンティングを体験できるFPSです。製品版リリースの前にレビュー版を20時間ほどプレイしてみたのでそこから把握できたことや感想を綴っていきます。
※本作をプレイするにあたりTHQ Nordic Japan 株式会社よりSteam版を提供いただいております。
狩猟体験記
本作のロケーションは2つ。
- アメリカ アイダホ州のネズパース
- ルーマニアのトランシルバニア
2大大陸の生態系をオープンワールドで味わえちゃうのはなんとも贅沢😋マップサイズはどちらも広大な144平方Km。もちろん生息する動物は異なるし請け負えるミッションも異なる。
といってもゲーム開始時はネズパース渓谷からの強制スタート。そこでチュートリアルを完了させることでトランシルバニアのマップ、そしてマルチプレイモードがアンロックされる。マップの切り替えはメインメニューから行え、プレイヤーの所持金や所持アイテム、パークの進捗がマップ間で共有される。
難易度は4段階で任意に切り替え可能。その内容は動物の察知範囲が異なることや一部機能の封印などが挙げられる。今回は標準とされる「冒険者」でプレイ。
入院した祖父に代わりハンティングの仕事を引き継いだ主人公リバーが、祖父のロッジに到着するところからストーリーは始まる。

本拠地となるロッジからの景観。いやもう圧巻ですねー!踏破するのにどれくらい時間がかかるんだろう?

ロッジでは以下のことが行える。
- PCで仕事の依頼のメールを確認
- 銃やギアの購入
- ベッドで就寝して時間調節
- 剥製の展示
- 車のリスポーン
開始してしばらくはチュートリアルとなる。そこで触れる内容を始めゲーム内で必要となる知識は全てメニュー内の百科事典に網羅されており、プレイ中はそこに書かれた情報に何度も助けられた。ゲーム内の要素のみならず現実世界での豆知識も紹介されてるのが面白い。
操作に関してはとくに癖も無く、しゃがみと匍匐ができる至ってシンプルなFPSの操作だ。不満なのがキーバインディングとFOVの調整ができないこと。後で追加されることを願いたい。
没入感が重要視されるジャンルにおいて気になるのがHUDのオン/オフ。そこはばっちり設定可能。

ロッジのすぐそばには実射練習場が併設されており本格的な射撃を学べる。本作の射撃は以下のようなリアルな要素を有する。
- ゼロイン – 標的までの距離に応じてスコープのゼロイン(照準と着弾位置を一致させる調整)を行う
- 風 – 風向きと風速も影響する。HUDで常時確認できる
- 重力 – 弾道は曲線を描く
- マズルエネルギー – 銃弾の運動エネルギーをシミュレート

練習の次は本番が待ってる。指示に従いアナグマや鹿を仕留めていくことに。それでは本作のメインであるハンティングの流れについて触れていこう。

まずは野外に残された動物の足跡や排泄物を手掛かりに、休憩場所、餌場、水飲み場といった「ニードゾーン」を見つける。一度発見したニードゾーンはマップにマーキングされ、それを基に獲物追跡の計画を立てていく。

動物は24時間のライフサイクルに従いニードゾーンを日々転々とする。闇雲に探すのは非効率というものだ。そんなときに使うのが「ハンターセンス」という機能。
ハンターセンスを発動させると熟練ハンターが持つ観察眼を利用できるようになり、様々な情報が可視化されるのだ。それは追跡時のみならずあらゆるシーンにおいて効果を発揮する。
- ニードゾーンや足跡がハイライトされる
- 動物の鳴き声から性別や現在の状態を特定できる
- 血痕から出血量や死亡までにかかる時間などを推定できる
- ADS中に標的までの距離や着弾時のエネルギーが分かる

しかしそんな便利なハンターセンスを活用しても、そう一筋縄ではいかないのがハンティング。獲物に気配を察知された瞬間、全てがパーになってしまうのだから。
そんな事態を避けるためにも注意を払いたいのが物音と風向き。野生動物は音に敏感なのはもちろん、人間のニオイにも敏感なので風向きに気を付けながら移動する必要がある。

動物が発する鳴き声からは距離、方向、警戒度を把握できる。ハンターセンス発動中は地形を無視して可視化されるので、標的を直接目視できない状況下で強力なヒントとなる。

鳴き声といえば各種動物たちの声真似が可能な「コーラー(呼び笛)」というギアが用意されており、それを使うことで動物の警戒度を下げたり呼び寄せることができる。不自然な使い方は逆に警戒されてしまうので注意。

にしても自身の存在が察知されぬようジリジリと距離を詰めていくのは非常に忍耐力がいる。焦ってはいけないし、かといってもたもたしてたら機を逸するかもしれない。これは自分との闘いとも言えよう。このスリルがハンティングの醍醐味なのよね(汗だく)。
ちなみに一定数経験を積むとパークを取得でき、リバーのスキルが強化される。移動速度アップや敵に察知されにくくなるなど、ぜひとも欲しい能力がラインナップされてる。

獲物を発見したらタイミングを見計らい発砲。一発で心臓を捉えるのがベストだが、それは相当高難度な芸当。多くのケースで負傷した獲物に逃げられることになるだろう。さぁ、追跡第2フェーズの開始だ。

獲物が被弾した地点で血痕を確認。ハンターセンス発動中はそこから出血量、死亡までに要する時間、血の色といった様々な情報を取得できる。血の色や気泡の有無からは損傷してる臓器の判別が可能だ。続く血痕を辿り獲物が逃げた方向へ進む。
しかし血痕の痕跡は草木が茂ってる場所では視認しづらく、しかも獲物がターンしてたりすると追跡はさらに困難を極める。手負いと言えど動物の追跡というのはやはりそう簡単ではない。

追跡の果てに息絶えて倒れてる獲物を見つけ出せたらハンティング成功。待ちに待ったリザルト画面に切り替わるので猟のスコアを確認してみよう。

銃弾の入射角と貫通経路がカメラで、そしてそれに伴うマズルエネルギーの減衰がグラフで分かりやすく表示される。これにより獲物に対して適切な口径の銃を使用できてるか分析できる。
各臓器(肉、骨、動脈、心臓、左肺、右肺、胃、肝臓、腸、頭蓋骨、脳、脊柱)へのダメージも示され、組織がどれだけ抉れ、それによりどれだけ質量が減少したかを数値化。さらに死亡後の経過時間による肉質の低下も確認できる。個体のサイズや年齢も影響するが状態が良いほど高値で売れる。
このシミュレーションには並々ならぬこだわりが感じられるが、開発チームにはハンティングタイトル「Cebela’s」シリーズの開発に携わってた方が在籍しており、その経験と動物解剖学の研究、そしてプロハンターとレンジャーとのディスカッションを重ねて複雑なシステムを構築したとのこと。
獲物の性別が雄の場合、角や牙といったトロフィーの評価も下される。獲物は売却の他に剥製にもできるのでトロフィーの質は獲物の行く末を決める判断材料となるだろう。凄いトロフィーはやっぱ飾っておきたいからね。

剥製はロッジにたくさん展示することが可能。高額だがテーマを選択してジオラマにできる。また剥製化した獲物は戦績ログが記録される。印象深い獲物を展示して思い出を刻んでいくのもハンティングの魅力の一つだ。
獲物の売却や仕事の報酬で資金が貯まってきたら装備の購入を検討したいところ。本作ではアウトドア関連事業を手掛けるVista Outdoors社とパートナ-契約を締結したことにより、実在の銃やギアを使用できるのが特徴。私はそんなに詳しくないですが、これファンにはたまらないんじゃないでしょうか。

ステアー、レミントンなどの銃器メーカーだけではなく弾薬メーカーのフェデラル、ハンティングギアメーカーのプリモス、光学機器メーカーのブッシュネル、リューポルド等々がラインナップ。
銃器のカテゴリはライフルとショットガンの2種でアタッチメントは照準器のみ。ギアは笛と双眼鏡の2種となってる。
各銃には性能面や用途によって数段階からなるティアが設けられており、獲物との相性によって使い分ける際の目安となる。いずれの銃も百科事典でその性能を確認できる。

ここまでハンティングの流れを紹介してきたが他にも本作には興味深い要素がある。
🦌動物の生態
ハンティングの評価システムの作り込みようを前述したが、動物の生態シミュレーションも目を見張る出来となってる。私の実プレイで全てこの目で確認できたわけではないが、ゲーム内の百科事典やweb上の公式情報から得られた本作の生態シミュレーションの内容を紹介。
- ネズパースでは2,500頭、トランシルバニアでは3,000頭の動物たちのライフサイクルをシミュレート
- 雌を狩りすぎると生息数が減少してしまう。雄を狩っていると生息数が伸びる
- 角や牙といったトロフィーは自動生成され時間と共に特徴が遺伝する。低品質トロフィーの個体を間引くことで群れの高品質化を図ることができる
- 主要生息地、二次生息地、私有地(狩猟許可制)など生息環境によって動物のスコアに差が生じる
- 年齢によって体のサイズや姿勢の取り方、毛質や発色が異なる
- ハンティング後の狩猟圧が残ってるエリアにはしばらく近寄らなくなる
こちらも凄いシミュレーション具合だが、群れの間引きや性別、年齢の指定といった内容の仕事もあるので自ずと必要になってくる知識でもある。序盤は知らなくてもいい知識だが、知りたい時に百科事典でこれらの情報にアクセスできるのは毎度助かる。

とくにトロフィーまわりの仕様に関しては、質を追い求めるハンターにばっちり応えてくれるやり込み要素とも言えそう。
動物の種類もてんこ盛り。ハンティングでお馴染みの鹿や熊はもちろんのこと、空ではキジやカモ、野原でウサギや狐、森でエルクや猪、山岳でシャモアや狼と出会える。
🦌倫理的であれ
ストーリー中、ハンティングにおける「倫理性」の話題が度々登場する。
- 野生動物に敬意を払う
- いかに獲物を苦しませずに仕留めるか
- 狩った頭数ではなく狩りの質を問う
- 決断にプライドを持ち全責任を負う
人が見ていないところでどれだけ倫理的に徹せるか。ハンティングを通じて大切なことを教えてくれるストーリーもWay of the Hunterの見逃せないポイント。

🦌サウンド
視覚で感じる自然の雄大さもさることながら、聴覚で感じる自然の息吹に癒されること間違いなし。川のせせらぎ…木の葉のざわめき…遠くから聞こえるなんかの鳴き声…羽虫の襲撃…(笑)。
没入感極まるサウンドは自然の環境音だけではない。私の一番のお気に入りはSUVの走行音。静粛性からは程遠いエンジン音やギアチェンジのサウンド、悪路で拾うロードノイズは騒々しくもどこか心地よく、一人称視点に切り替えてのドライブは最高に気持ちがいい。
サウンドは個人的にぜひとも注目していただきたいポイントだ。

🦌フォトモード
フォトモードの実装は非常に嬉しい。Way of the Hunterには雄大で美しい大自然や思わぬアクシデントなど記録しておきたいドラマに溢れてるからね!どんなタイミングでもあらゆる角度から撮影OK。フィルターや時間帯、被写界深度の調節、その他諸々いじれちゃう。

🦌グラフィック
参考までに最低プリセットと最高プリセットの比較を載せておきます(1920×1080時)。
←最低 最高→




感想
注目すべきポイントが多岐に渡る恐るべきハンティング・シミュレーションですね。作り込まれたシミュレーションが最高のハンティングの舞台をもたらしてくれます。特筆すべきは活き活きと構築された動物の生態系でしょうか。こだわりと共に開発陣の熱い意気込みが伝わってきます。
広大な大自然も見どころで、ハンティングだけでなくボーっと散策するのもオススメ。山彦ポイントを発見したり、ユニークな名所が見つかることだってあります。

肝心のハンティングはやはり一筋縄ではいきませんが、ハンターセンスと百科事典の存在が心強い。おかげでハンティングの前段階(知識や操作方法など)へのアプローチが容易でハードルが低くなってます。その先で行う”得た情報をどう活かしてどう立ち回るか”がハンティングの難しいところなのですが、スリルと達成感をもたらしてくれるハンティングの楽しさもまたそこに秘められてます。
ジャンルの特性上、忍耐を強いられるプレイとなるため、プレイヤーによって合う、合わないがはっきり出るタイプのタイトルだと明言はしておきます。ひとつ確かなのは得難い体験ができるのは間違いないということ。執筆時点ではマルチプレイできませんが、そんな体験をフレンドと共有できたらきっと最高でしょう。

最後に、本作は長期的な開発サポートを視野に入れてるそう。この素敵な世界がさらに充実することを考えるとワクワクが止まりませんね。
参考/情報元 日本公式サイト Steamコミュニティ