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『ELEX Ⅱ』レビュー | 諸法無我を悟る世界

『ELEX Ⅱ』レビュー | 諸法無我を悟る世界

2022年3月1日リリース(Steamは3月2日)の新作オープンワールドRPG『ELEX Ⅱ(エレックス 2)』のレビューをば。ネタバレ無しです。

【2022/3/22】クリアしたので記事内容を更新しました。

ジャンルアクション、アドベンチャー、RPG
対応プラットフォームPC、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One
日本語実装字幕
開発Piranha Bytes
パブリッシャーTHQ Nordic
製品紹介

今回は以前紹介したプレビュー版ではなく、リリース前にTHQ Nordic Japan様より御提供いただいたレビュー版及びリリース後の製品版のプレイを踏まえたものとなります。

『ELEX Ⅱ』クリアレビュー

プレイ時間約70時間

どんなゲーム?

2017年にリリースされた前作『ELEX』の続編。ファンタジー、SF、ポストアポカリプスといった一見バラバラな要素を1つの世界で共有する非常にユニークなオープンワールドRPGです。父となった前作の主人公ジャックスが新たな脅威に立ち向かう!

本作がどのような体験ができるRPGなのか。本作の概要をひとまとめに紹介する公式日本語トレーラーが大変参考になります。気になる方はぜひご視聴ください。

エレックス2 解説トレーラー(年齢制限あり)

それではELEX2の様々な要素にフォーカスしていきましょう。

個性的な勢力と人々、クエストが面白い

ELEX2の特色として5つのプレイアブルな勢力が挙げられる。いずれの勢力も強烈な個性を放つ。

  • 【バーサーカー】自然保護を信条に掲げる魔法剣士団。
  • 【アルブ】前作の敵対組織。鉱石エレックスを摂取し超人的な能力を使う。
  • 【アウトロー】無法者の集団。薬物の投与で強化を図る。
  • 【クレリック】科学を信奉するハイテク集団。メックやアンドロイドも使役する。
  • 【モーコン】本作で初登場の新勢力。暴力的な対外方針を持つカルト教団。

どの勢力に与するも、また一匹狼を貫くもプレイヤーの自由。それぞれの勢力には多岐にわたるクエストラインが用意されており、勢力への加入を果たすことで戦闘スタイルやメインストーリーに影響をもたらす。

勢力を構成する多くの魅力的な人々の存在も見逃せない。ときには勢力内に潜む異なる思惑を持つ者に加担したり、ときには別勢力へのスピンへ発展したり等、人々との関わり方次第でクエストラインの進路は大きく動く。

ジャックスの目的は第6の勢力を作ること

いずれの勢力も一枚岩ではないという点がELEXの面白いところ。勢力内の構造も、クエストの発展も、NPCの内面も多層的に作られており、アプローチ次第でどんどん掘り下げられる深みを有する。なので会話やクエストが二転三転していき退屈さを感じることはない。

また、ELEX2は前作同様カルマシステムを備えており、クエストの選択次第で主人公ジャックスが友好的、もしくは破壊的な性格を帯びる。カルマの方向次第で会話中の選択肢や仲間からの評価、そしてストーリーの結末に影響を与えるが、それらカルマの増減をコントロールする機会は多く設けられてる。加えて、選択肢からどちらのカルマ寄りの返答かを読み取りやすいのでカルマコントロールは容易と言える。

試される仲間との付き合い方

勢力を味方につけることがジャックスのなすべきことの1つでもある本作だが、勢力とは関係なく個人的に付き従ってくれる7人の相棒たちも存在。

彼らは戦闘時のみならずクエスト中の会話シーンにも参加。仲間一人ひとりに明確な性格が設定されており、ジャックスとNPCの会話中の選択、つまりカルマの属性次第でジャックスに対する評価を変化させる。彼らの信条に沿う選択を行えば好感を持たれ、その逆であれば不満を持たれてしまう。不満度が最大になった仲間はジャックスの元を去ることになる。

仲間たちの好き嫌いはそれぞれ異なるため、全員を側に留めようとすれば本心を誤魔化す態度を続けるしかないし(これが実に不健全でストレスが溜まる)、ロールプレイに徹すれば相反する仲間は姿を消す。何を秤に乗せるかはプレイヤー次第でしょう。

そんな仲間たちには固有クエストであるコンパニオンクエストが多く用意されてる。進めれば各キャラの背景やメインストーリーの掘り下げに繋がる他、女性キャラとはロマンスに発展する場合も。しかしコンパニオンクエストのバリエーションに関してはどれもあまり代わり映えなく、その内容の単調さが目立つ。

ジェットパックで駆け回るオープンワールド

簡素なチュートリアルを終えたら、ジェットパックをお供に世界中どこへでも駆け巡ることができる。ELEX2のオープンワールドはジェットパックを余すことなく活かせるマップデザインとなっており、地形も構造物も高さを強調した造りになってるのがグッド👍上の方にも目を向けて、隅々まで探索すれば新たな発見や強力なユニークアイテムを入手できるかも。

ジェットパックを使えばこのビルの屋上にも行けるよ

このジェットパックというアクション要素が、1から引き継がれたELEXシリーズのユニークな特徴であり、操作していてとても楽しい。本作ではジェットパックが前作よりさらにパワーアップされ、強化を進めていけば短時間ながらもジェット飛行することも可能(ジェットパックの燃料を無限にできる方法も存在)。

開放的な大地をジェットパックで飛び回るのは最高に爽快で、簡単に難所へアクセスできる点が魅力。ただし調子に乗ってると事故るため油断は禁物。また、ジェットパックは探索面だけでなく戦闘においても重要な働きをする。攻撃や回避に組み込むことにより戦闘時の一手にバリエーションをもたらす。

マップデザインという面では、前作との比較においてなかなか面白いアプローチをしており、前作のマップ半分ほどのスケールを東側へズラしてる。つまり前作のマップ東半分がELEX2のマップ西半分のエリアにあたり、東半分は新規エリアとなる。

前作で再登場したエリアは街の様子が一変し、なんと気候変動が起きてるエリアも。この事によりELEX2のマップには、前作からの変化を感じられる部分と新たなロケーションに対するわくわく感が半分ずつ詰まってる。この採用は見事。前作ファンには嬉しいプレゼント。

戦闘

戦闘スタイルにおいては近距離、遠距離、もしくは各勢力固有の能力といった方向付けが可能。

  • 片手武器なら盾を装備できるし両手武器ならスピードが遅くなるが破壊力やリーチに優れる。
  • 重火器はもちろん有利だが弾薬が必要になる。
  • 各勢力に加入すると固有の特殊技を習得できるようになる。魔法や強化薬の最適化や痛みを伴う儀式など様々。

いずれのスタイルも一長一短で、多彩なスキルを習得し伸ばすも補うもプレイヤー次第。

勢力固有の能力についてだが、勢力加入前にどのような技を習得できるか具体的な説明が無いのが良くない。ただしメニュー画面のアビリティ一覧からなんとなく確認はできる。どの勢力の技も個性的で”らしさ”溢れるものとなっていてグッド👍

モーコンの儀式システムは癖が強い

また、スタミナ制を導入してる本作だが攻守ともにかなり重要。敵にもスタミナが用意されており削りきれば一定時間ダウンさせることができる。自他のスタミナコントロールが戦闘を有利に運ぶための鍵となる。

初っ端から弱い敵も強力な敵も渾然となってうろついてる危険な世界ではあるが、回避、ジェットパック、地形をフルに活用すれば活路を見いだせる(かもしれない)バランスだと感じた。装備の数値以上にアクション面での戦術が物を言うだろう。

だがそう簡単にはいかないのも事実。敵は数の暴力を使ってくるケースが多く、また攻撃力が高めに調整されてるため、総じて気を抜けない戦闘を強いられる。とくに心許ない防具しかない中盤くらいまではそれが顕著。

といってもクイックセーブ&ロードがあるし、ジェットパックで緊急離脱が可能な上、難易度設定が用意されてるため戦闘の難易度に関してそこまで身構える必要は無し。序盤は経験値稼ぎの一環として戦闘よりもクエストクリアに努めれば、世界の構造の把握にも繋がる。

空中戦もできるよ

なお、戦闘時はロックオンが用意されてるが、カメラワークが暴れるのと、その際にロックオンが外れてしまう場合があるため改善希望。

時間を要する成長の実感

キャラクターの成長を実感できる瞬間。それは新たな装備に身を包み、習得したスキルを使ってそれまでできなかったことができるようになったとき。そういった強化を繰り返しながら事を運ぶのはRPGが持つ楽しい要素だが、ELEX 2においてはそれを実感できるまで時間を要する。

レベルアップのペースが遅いわけではない。スキルの取得や武具の装備には必要条件が設定されてるのだが、それら条件の段階を小刻みに経ているわけではなく、段階と段階の隔たりが大きいことに起因する。つまりレベルが2、3上がったくらいで装備の新調というわけにはいかない。それに加え、優秀な防具の入手が基本的に勢力加入以降になるのも理由の1つ。

成長の鈍足さを緩和するアイテムやスキルが用意されてるとはいえ、悠々自適に各所を闊歩できるのはレベル20付近からといったところか。戦闘の項で触れた通り、それまでは戦闘で多くの危険に見舞われるだろう。序盤のトラウマの払拭が大きなカタルシスとなるよう調整されてると見ることができる。

諸法無我を悟る世界

最後に。
この作品の最大の魅力は一体何だと聞かれれば私は”諸法無我の世界”と答える。諸法無我とは全てのものは互いへの影響、因縁から形成されているという考え方。それは数時間程度のプレイでは見えてこない。

プレイを重ねていくと、あらゆるクエストやNPC達が勢力の垣根を超えて絡みあっていることに気づくはず。それらがメインクエストと合流し1つのうねりとなっていく。ジャックスが起点となりNPC達が様々な方向へ歩み、クエストとクエストが繋がり、仲間の内心に変化が起こり、全ての結果がジャックス率いる第6勢力にフィードバックされる様は正に諸法無我を感じさせる。

それら因果の繋がりはプレイヤーに見える形で見せてるわけではないため伝わりにくいが、この相互作用の世界を構築したのは凄いことだと思う。NPCが生活してるというより、人生を歩んでることを感じ取れる世界だ。

そして複雑に絡み合うクエスト網にジャックスが複数のアプローチで介入することによって「自分だけのジャックス冒険譚」が生まれる。その冒険譚を紡いでいく過程こそELEX 2の醍醐味。ジェットパックという最高のお供とぜひマガランを駆け回ってみて下さい。ユニークでデンジャラスで笑える奴らがプレイヤーの手で煮たり焼いたりされるのを待ってるよ。

良い点や不満点まとめ

ざっと挙げます。

良い点

  • 諸法無我を感じさせるクエストとNPCが相互に作用する世界
  • 探索が楽しい。金庫の暗証番号探しや宝の地図探しなど発見に満ちた世界
  • 細かな作り込み。クエスト終了後のキャラの様子、NPCの会話、スリや空き巣で思わぬ発見があったり等、サブ的なお楽しみが用意されてて素晴らしい。焦ってプレイするのはもったいないですよ。
  • 楽しいジェットパック。そしてそれをふんだんに活かせる地形と構造物
  • 謎が明らかになるストーリー
  • 前作プレイヤーには嬉しい、変化を遂げた世界と未知の世界の両方詰まったマップ
  • 日本語訳がキレキレの部分もあれば一人称間違い・誤字脱字が目立つ部分も多く不安定だがプレイに差し支えはない
  • 罪を犯すのはやはり楽しい…
  • リプレイ性高し
  • 個人の好みの問題だとは思うがライティングが写実寄りで個人的には好き
  • グラサン

不満点

  • 勢力加入までにどういった固有の戦法が用意されてるのか具体的に説明されない
  • コンパニオンクエストがやや単調気味
  • メインクエスト後半単調気味
  • 武器種は新しいの追加してほしかったかな
  • 戦闘時のロックオンまわり
  • 前作未プレイヤー向けに前作の解説データベースなんかがあれば良かったかも
  • 防具もホットキーに対応するべき

クリアしてみて

総合的には前作との違いはあまり感じられなかった。実質ELEX1.5といった感じ。でもこれはマイナスではなく、順当に諸要素を引き継ぎつつ相変わらずクエストの出来が良いということ。前作はアウトロー絡みのクエストがとくに練られてたと思いますが、本作ではアルブ絡みのクエストが輝いてると個人的には思います。

メインのストーリーですが、ドラマチック度は前作の方に軍配が上がりますね。ELEX2は1と3の繋ぎの章といった印象が強いです。2をクリアした現在、すでに3にかなり期待してる自分がいます。待ち遠しい😊

…出るよね?

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