次世代プラットフォーム到来か?「RobotCache」アーリーアクセス体験記

「仮想通貨でゲームが買えちゃうお店があるんですよ~。しかもダウンロードで購入したのに遊び終わったら売ることもできちゃうんですよ~。」

「な~にぃ~!? やっちまったなぁ!」

「漢は黙って」

「GOG!!」

・・・思いついたから書いてみただけ。本題は以下から。

❏RobotCacheを使ってみたよ

「RobotCache(ロボットキャッシュ)」というPCゲームプラットフォームを最近利用してます。まだアーリーアクセス中で、正式オープンに至ってないサービスなんですが、SteamやGOG.comといった既存のプラットフォームとは一味違っており、記事冒頭に挙げた”仮想通貨でゲームが買える“、”ダウンロード版を売ることができる“という仕組みを有してます。それは具体的にどういう仕組みになっているのか、いろいろ触ってみて把握できたことや使い勝手などの感想を述べていきます。

Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=WBZzhpTuNAM

❏仮想通貨とマイニング

RobotCacheでは普通に円やドル決済でもゲームは買えるんですが、ブロックチェーン技術の導入によりIRONと呼ばれる独自の仮想通貨が用意されており、それを使って決済が可能。さらに、それを簡単にマイニングできちゃうんです。

仮想通貨やマイニングと聞いて複雑に思われている方はご安心を。特別なマシンやツールを用意したり、口座やウォレットをどうのこうのする必要はありません。全てRobotCacheクライアントの機能に組み込まれているんです。要オンラインだけど。

IRONはマイニングにより増やすことが可能です。知らない方に向けて超簡単にマイニングについて説明しますと、要はGPUがめっちゃ頑張ることによって仮想通貨が貰えるという認識でいいかと。PCに積んでるグラボがものっすごい熱くなるほど計算処理した分、IRONが発行されるという仕組みになっています。クライアント内のマイニング画面でスイッチオンするだけでマイニング作業開始。この備え付けのマイニングツールがなかなか便利で、消費電力・GPU温度・ハッシュレートなども自動測定してくれる上、PCがアイドル状態になると自動的にマイニングモードに切り替わる設定もある。

【追記】現在はアップデートによりGPUの他、CPUでもマイニングできるようになりました。

❏IRONはゲームを遊んでくれたご褒美

この記事執筆時点のIRONレートは1円=0.922 IRON。RobotCacheの発表によるとユーザーは月平均で$10~$20相当をマイニングで得ているそうです。だがくれぐれも電気代の存在や、発熱によるグラボ故障リスクを忘れてはいけない。マイニングの作業効率は個人のPC環境に左右されてしまうということも考えると、この発表データをあまり鵜呑みにすることなかれ。マイニングで得られるIRONは、一般ゲーマーにとってはあくまでもオマケ程度と考えておいたほうがいい。私自身(GTX1060 6GB)は1ヵ月でこんなに採掘できるか正直疑問だ。

だがRobotCacheでIRONを得る方法はなにもマイニングだけではありません。

RobotCacheでは様々なチャレンジを達成することにより、アカウントのレベルが上がる仕組みになっており、レベルアップするとリワードとしてIRONが支給される他、マイニング効率を数パーセントほど強化できるブースターアイテムが支給されます。チャレンジ内容は、”○時間マイニングしろ”、”ゲームを○時間プレイしろ”といった内容が多く、これはすなわちRobotCacheを利用すればするほどIRONが増える機会が多くなるということ。RobotCacheでゲームを買って、目一杯遊んで、適度にマイニングし、ちょっとずつ貯めたIRONをたまにゲーム購入時に使う。決済時に円と併用できるので、特典ポイントのようなものだと思えばいい。IRONはゲーマーへのちょっとしたご褒美なのだ。

また、RobotCacheはオンラインゲームのバーチャルアイテム売買などを行う仮想通貨プラットフォーム「WAX」と戦略的提携を結んでいます。今後の展開に期待です。

❏デジタルなのに売れちゃう

続いて”ダウンロード購入したものを売ることができる“ということについて。最初に言っておくが、鍵屋のようにプロダクトキーを取引するわけではない。RobotCacheのライブラリにある購入済みタイトルをそっくりそのまま売却し、対価を得られちゃうのだ。ゲオで所有ゲームを中古として売るのと同じことができるというわけ。私はまだRobotCacheでゲームを売った経験が無いので、RobotCache側の説明を要約する形で説明させていただきます。

まず売りたいゲーム「SUPERHOT」があったとする。ライブラリ内には「List」というボタンがあり、クリックするとSUPERHOTが“売却待ちキュー”に加わる。SUPERHOTが売れるまでの間、順番に待機するためのキューである。

誰かがSUPERHOTをストアで買うと、売却待ちキュー先頭のSUPERHOTが購入者に届けられ、売却成立となる。SUPERHOTを売却できたユーザーは、所有していたSUPERHOTの購入時に支払った額の25%を受け取ることができる。この25%という数字は一律となっており、もし割引セール時に買ったSUPERHOTだとすると割引額からの25%となり、キャンペーンなどで入手した無料タイトルの場合は売却不可ということになる。受け取る売却金は、購入時に円決済だったなら円で、IRON決済だったならIRONで支払われる。

なんでこんなことが可能なのかというと、やはりブロックチェーンを利用しているおかげだから。データの改竄は不可能だし、ユーザーからユーザーへ安全にゲームを転送できます。これはもちろんゲーム以外にも応用可能で、今後こういったストアは増えていくかもしれない。

ちなみに販売手数料としてRobotCache運営には5%が渡り、残りの収益は開発者に渡ることになっています。新品が売れた場合は95%が開発側に渡り、ユーザーが売りに出した中古品が売れた場合は70%が渡ることになる。かなり良心的です。

❏他にも良い点や改善点など

その他にもいろいろ気になる点が。

最近実施しているんですが、マイニング時間に応じてゲームをプレゼントしちゃうよ!っていう企画。これがすごい嬉しい。実質電気代だけでゲームが貰えちゃうんだから。例えば、2週間以内に12時間マイニングすると「Ashes of Oahu」、96時間達成したら「The Bard’s Tale 4」をプレゼントする企画が執筆時点で行われています。その前回は「Wasteland 2」が貰えました。日本語化MODも適用できたよ。

あとクライアント設定で日本語が選択可能なところが嬉しい。とは言っても現時点ではほとんど英語のまま。だけどアップデートを重ねる度、ちょっとずつ日本語化していってるので期待が持てます。

よろしくない点もある。クライアントの動作、とくにページ切り替え時の読み込みが重いところと、ストアが見づらい。これらも改善を期待するしかない。

ゲームストアにとって肝心の”品揃え”だが、いわゆるAAAクラスの新製品は見当たらず、話題作や鉄板作品などがいくつか見受けられるものの、少々インパクトに欠けるラインナップだと思う。今のところ提携している企業が1C EntertainmentやDevolver Digitalといった中堅組がメインだが、今後提携先は拡充されていくだろうし、良心的な収益分配がそれを後押ししてくれるに違いない。

そんなこんなでこれからが楽しみなRobotCache。現在行っているアーリーアクセスに参加するには、公式サイトからサインアップし、そのうち届くであろう招待メールを待ちます。アーリーアクセス参加者には様々な特典が用意されており、プロフィールに使用できる特別なバッジが貰えたり、マイニングの常時ブーストバフが得られます(今年いっぱいまで)。

今回の記事を書く上でRobotCacheをいろいろ調べてたんですが、創設者はThe Bard’s TaleやWastelandシリーズを手掛けるゲームデザイナーのBrian Fargo氏だったんですねぇ。驚き!