GOGコミュニティマネージャーが解雇?復帰を望む声が多く寄せられる事態に

先月末あたりからちょっとした騒ぎが続いています。それは”GOGコミュニティマネージャー解雇疑惑騒動”。

最初にざっくり説明すると、GOG.comのコミュニティマネージャー Linko90 氏がGOG.comを解雇させられたという不確実な情報のもと、その決定に納得できないGOGユーザー達がLinko90氏の復帰を求める反応を見せ始め、次第にGOGを批判する声も入り乱れ、いまだにそれが続いている状態となっています。この騒動の背景には何があるんでしょう。

発端

10月27日、GOGフォーラムに「Open Letter to GOG – The Linko90 Support Thread」というスレッドが立ち上がりました。スレッド主であるGOGユーザーの主張は以下の通り(意訳でかいつまんでます)。

●コミュニティマネージャーLinko90氏のgogプロフィールが消えてる。
●毎日のようにあったGOGのネタツイートがしばらく投稿されてない。
●最近Twitterで不謹慎ともとれる問題があったので(詳しくは後述)、以上のことを踏まえ解雇されたのではと仮定。
●フォーラム内でLinko90氏はいい仕事をしていた。もしこの仮定が真実であった場合、彼の復帰をGOGに再考してほしい。

それからはこのスレ主さんの嘆願ともいえる内容に賛同する投稿が多く寄せられることになりました。reddit、Twitterでも同様の投稿が続いており、中にはLinko90氏を復帰させないならばGOGを不買するという宣言までする怒りの声も見られます。さらにコミュニティウィッシュリストが登場した上、この問題を取り上げるYoutuberも出現しました。

Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=A0PIujOPB4Q

背景

復帰を望む声、そして怒りの声まで寄せられていますが、その背景には今年、GOG.com公式Twitterが起こしたある問題があります。おそらくGOGのツイートを担っていたのが件のコミュニティマネージャーだったと推測されます。その問題とは以下の通り。

7月

GOGアカウントがPostal 2: Paradise Lostの宣伝をツイート。そこにはPostal 2の排尿アクションを引用した、”Games Journalism 自殺 2014年8月28日“と書かれた墓石に小便をかけるGIF動画が。これはかの有名なGamerGate問題を想起させる内容となっていて(この日にちはメディアが”Gamers are dead”を掲載した日)、ジョークのつもりでの投稿だったのかどうかは定かではないがこれに過剰反応した人たちがいて炎上。結果GOGはツイートを削除し、傷つける意図はなかったと謝罪。

10月

GOGアカウントが “Classic PC games #WontBeErased on our watch. Yeah, how’s that for some use of hashtags.” というメッセージをツイート。これは、”クラシックPCゲームは我々がいる限り消されることはない。イエイ、ハッシュタグを使うとはまさにこういうことよ”という意味合いのメッセージ。このメッセージに使用した”#WontBeErased”というハッシュタグは、10月にトランプ政権がトランスジェンダーを認めない方針を検討しているという報道を受け、”私たちは消されない”というLGBT側の抗議の意味合いでSNS上で用いられているもの。このGOGの投稿はタイムリーなネタに乗っかった、良く言えばノリが良いツイートとも受け取れるが、さすがに不謹慎だと自覚したのかすぐにこのツイートは削除される。だが、このツイートに反感を持った人がスクショを撮っており拡散、炎上。結果、翌日GOGは謝罪。今後はゲームだけに集中することを約束するとツイート。この謝罪を行った日はCDPRが力を入れまくってた「奪われし玉座」の発売日でもあり、少なからず影響が出たという意見もある。

余談ですが、9月にはCyberpunk2077公式アカウントもジェンダー絡みの不謹慎ツイートを投稿し謝罪してます。

以上のツイート問題を起こしたコミュニティマネージャーが責任を負う形で解雇されたのでは、という推測が今回の騒動の背景です。Linko90 氏がコミュニティマネージャーとしてGOGフォーラム内に降り立ったのはたしか現在より数カ月前。何月だったかは記憶が定かではありませんが、挨拶のコメントをしていたのを私も覚えています。彼は頻繁にフォーラム内スレッドに顔を出し、単なるアナウンスのみならず、ときにはいちユーザーのように振る舞い、ユーザー同士のコミュニケーションに加わるようなこともあり(Pathfinder:Kingmakerの質問受付時にはちゃっかり質問を投稿していたりしたのも目撃)、GOGユーザーとの距離がかなり近い印象でした。一方でフォーラムの規約違反に抵触する書き込みなどには毅然と対応していたりもしました。そのような私の印象と同じ印象を他のGOGユーザーも多く抱いているのが、「Open Letter to GOG – The Linko90 Support Thread」スレッドを見ていても把握できました。

ツイート問題はたしかに不謹慎ではあったけれども彼はコミュニティに対していい仕事をしていた、解雇はあんまりだ、という声が今回の騒動の大多数意見のように見えますが、一方で別角度からの意見も見られるようになりました。GOGはSJW(ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー)に屈服し従業員を守らなかった、というGOGに対する批判です。こちらの意見が怒りの声となって一部で表面化してしまっているのも現状です。GOGユーザーのこのような反応に対してGOG側からはとくに具体的な声明は今のところなく、規約違反への抵触を警告した上で該当スレッドへの投稿をロックするという措置をとりました。

そもそも”仮定”の話だったはず

だんだん話が膨らんでしまっているのがSNSの闇を如実に表しているわけなんですけど、そもそもこれ推測から始まった話なんですよね。Linko90氏が解雇か解任された可能性はあれども証拠はないわけです。スレ主さんもLinko90氏のサポートが目的であって、GOGへの批判は意図していないと投稿しています。解雇を事実と誤認、もしくは最初から情報の出処を確認する気がないユーザーらの意見が独り歩きしているように見えます。そしていつの間にか対SJWの議論に発展してしまったようです。話が膨らんだ根本はやっぱそこかぁという印象です。今までのGOGの謝罪ツイートに納得できない人もけっこういるみたいですね。SJWに謝罪する必要はない、と。ただ、ここまで問題化してしまった以上、GOGは何かしらの説明をしたほうがいいんじゃないでしょうか。もし事実ではないのなら違うと。今後どういった対応をとるのか気になるところです。

参考、情報元 GOG内スレ1, GOG内スレ2, reddit r/gog, r/linux_gaming