クリア感想

都市運営サバイバルシム「Frostpunk」紹介

2018年4月24日にリリースされた極寒サバイバルシミュレーションゲーム「Frostpunk」。予約購入した私がメインストーリーを先日クリアしたので、プレイしてみた感想、感触などを紹介してまいりたいと思います。ネタバレは極力控えています。

説明に入る前に

本作の製作、販売を手掛けるのは、2014年リリースの名作「This War of Mine」を生んだ「11 bit studios」。まずは「Frostpunk」の概要を説明したいところですが、その前に「This War of Mine」を少し説明させてください。

「This War of Mine」とは戦時下に置かれた一般市民に焦点を当て、戦闘による崩壊の最中にある都市を舞台にした、サバイバルを主体としたゲーム。
その要素とは

◆食料や医療品などの物資の不足をいかにコントロールしてやりくりするか
◆疲労や病気、個人の性格、嗜好によるストレスからくる健康のコントロール
◆突きつけられる二択。自分を生かすため他者を殺すか、見捨てるかといったモラルの選択

というような、プレイしているこちら側も次第に滅入ってくるような陰鬱な日々をサバイバルする稀有な作品です。「お前はどう生きる?」という強烈なメッセージを放っており、「人生は決断と困難の積み重ねであり、正解なんてものはない」といった真理に目覚めさせてくれるとても深いゲームだと私は捉えています。そしてこれらの要素とメッセージ性は「Frostpunk」にも100%引き継がれています。

This War of Mine (2014)

どのようなゲームなのか

「Frostpunk」の説明をする際、ジャンルの分類に困ります。この記事のタイトルでは都市運営サバイバルシムと表記しましたが、私自身しっくりきていません。様々な要素をミックスしているが故、すべてを一度に表現するのは難しいのですが、私が考えるジャンルとしては極寒都市運営サバイバル絶望シミュレーションゲームといった感じです。ぱっと見、わけがわかりません(笑)。

そこでこのカオスなジャンルを【極寒】【都市運営】【サバイバル】【絶望シミュレーション】の4つに分けたものを「Frostpunk」を構築している要素と考えて説明していきます。


【極寒】

「Frostpunk」の舞台は氷河期に突入した地球。文明が崩壊していく中、放浪の末たどり着いた地で人類最後の都市をプレイヤーが建設していくのですが、とにかく寒い。-20℃からゲームがスタートしますが、日数が経つにつれどんどん寒さは増していきます。終盤ともなると目を疑うほどのありえない数値の超寒波が襲来します。対策が不十分だと都市の住民は凍死していきます。
プレイヤーは常に「寒さをどう凌ぐか」、に悩まされることになります。終盤の超寒波を乗り切ればゲームクリアとなります。


【都市運営】

それでは寒波にどのようにして立ち向かうのか。人類を導く重責を担ったプレイヤーの手で、資源などのリソースを管理しつつ住民の要望や健康に配慮して寒さに耐えうる都市を建設、運営していくのです。これらの要素を持ってプレイヤーがゲームに介入するわけですが、ジェネレーター管理都市建設テクノロジー研究法律施行遠征隊派遣とプレイ内容は大きく5つに分けられます。ざっくり紹介します。

◆ジェネレーター管理◆
都市を建設することになるクレーターの中央に位置するジェネレーター。かつての文明の名残とみられ、石炭を動力に周辺を温める機能を持つ。寒いと住民の不満が増え病気にもなるので良いことがない。
テクノロジーを研究していき熱量増加、効果範囲を拡大させ、暖かい日は動力レベルを落とし石炭を節約するなどしながら、最大限に活用せねば生き残ることは不可能。

◆都市建設◆
石炭など資源を採集する施設や食料を生産する施設、住民が暮らす住居をジェネレーターの周りを囲むように建物を建てていきます。寒さと対峙するため病院やテクノロジー研究施設、また住民の不満を解消する施設や犯罪が起きるようになると治安維持の施設なども必要になってくる。
各施設を稼働させるには道路を繋げる必要があり、いわゆる街づくり系ゲームにみられる要素はこの道路整備と建物を設置する作業くらいで、「This War of Mine」同様、本質はリソース管理による人命の維持と考えていい。

◆テクノロジー研究◆
テクノロジーは4つの分野に分かれており、リソース消費と研究時間をかけることによって獲得できる。それぞれツリー制を採用している。
ジェネレーター機能の拡張を始め、資源採取や生産の効率性を高めた上位施設のアンロック、施設の温室効果を高めたり人手を減らしたりといった恒久的な効果の付与といった様々な恩恵が得られる。スチームパンクな世界観に相応しい自動作業ロボットも造れるようになる。
これらの研究を進めないと状況は切迫していくが、全部取得するのは困難なので計画的に取捨選択しよう。

◆法律施行◆
こちらもツリー制を採用しているが、二者択一の法が存在。一度採用したらもう片方は選べなくなる。法施行し、クールダウンタイムが過ぎれば新しい法を採用できるようになる。
法施行によって住民を導く方向性を決められるが、実態は働き手を強制的にオーバーワークさせたり、食料を質素にしたり、子供の労働を可能にする、というような痛みを伴う改革といった印象。
不満が生じることもあれば、逆に希望が増加する場合もある。リソースの管理や人心の統一、犯罪や反乱への対応には不可欠であり、新たな施設がアンロックされる場合もある。

◆遠征隊派遣◆
クレーター外へ遠征隊を派遣できる。最初は近場で数か所選択できる程度だが、派遣先では物資の発見、生存者との出会い、新たなロケーション、テクノロジーの発見といった様々なイベントが起きる。
派遣先で得たものは遠征隊を都市に帰らせないと得られず、生存者発見の場合は一緒に寄り添って都市までエスコートするか、脱落者が出るのを覚悟で生存者だけで都市へ向かわすかイベントによって様々な選択肢が出る。
資源採集ポイントを見つけて外部拠点を設置すれば、都市へ資源の輸送が出来るようになる。
遠征隊、輸送隊の移動は遠くなるほど日数がかかるが「あそこには何があるんだろう?」というワクワク要素が絶望的な毎日に少し明るいアプローチをかけてくれる。


【サバイバル】

「This War of Mine」にも言えることですが、サバイバー側は最初から最後まで弱者でいることを強いられる難易度調整がされています。ジャンルは多少違ってきますが、他のサバイバルゲームに多く見られるような強者になるためのプレイではなく、ゲームが終わらぬよう「生存」することにすべてを注ぐわけであり、ある意味シンプルかつ究極のサバイバルと言えます。

このハードな難易度バランスが他では味わえないスリルを生み出し、絶望的な局面を凌ぎ切ったときの安堵感が病みつきとなり、止め時が見つからないゲームプレイへと繋がっているように思えます。


【絶望シミュレーション】

プレイ中は次から次へとプレイヤーに試練が突然降りかかります。物資の盗難、作業現場の人身事故、難民の大量流入など、ただでさえギリギリな状態の都市を運用している立場からすると頭が痛くなるような出来事ばかり。「マジか…」と呟き頭を抱える指導者の苦しみを体験できます(笑)。
そしてその都度対応を迫られるわけですが、その選択肢が悩みどころ。ハッピーな展開はまず望めません。

モラルを左右する選択は「This War of Mine」のそれであり、所詮ゲームなので人によってはどうということはないのかもしれません。しかし「Frostpunk」は住民ひとりひとりに名前があり、家族がいます。プレイをしていると彼らが朝、「今日は暖かいね」としゃべり仕事に向かい、仕事が終われば他のことに興じたり帰宅したりといった様子を目にします。
これらの演出は嫌が応にもプレイヤーに彼らの運命を背負っていることを刷り込むのに一役買っており、ゲーム体験の重要な要素である感情移入をさせることに成功しているように感じられます。

この感情移入から生じるモラル選択の際の悩ましさが「This War of Mine」から引き継がれてる「Frostpunk」の面白いところであり、選択の結果は単調なプレイになりにくいよう歯ごたえを与えてくれます。

感触と評価

【難易度】

難易度はきっと厳しめだろうと予想していました。とりあえず最初はゲームオーバーになってもいいからまず慣れよう、という軽い気持ちでスタートしましたが、日本語が用意されていないし、私は英語がスラスラ読めるわけではないので、そこは少し不安ではありました。

通常のプレイパートでは英単語さえ理解できればさほど支障はないかな、といった感じです。わからなければ辞書などで事足ります。ですが、ゲーム内で起きるイベントと法律の説明分は、ゲーム展開に関わる重要事項が書かれているので多少英文の知識があったほうがいいように思います。まぁ言語問題は攻略情報でカバーできるので購入に二の足を踏んでいる方はそこまで心配しなくてもいいかと。

難易度はノーマルでプレイしていたのですが、私が予想していたほどの困難さではなかったので未プレイの方はガチガチに身構えることはありません。途中「あー、しくじったかな…」と思ったり、ヒヤッとする場面が何度かありましたが、クリアした現在ではバランスいい難易度だったなぁと感じます。ここらへんはプレイスタイルや選択肢のチョイスにもよると思うのでプレイする度に変わってくるとは思います。セーブがいつでもできるので失敗してもリトライしやすいのも助かります。


【UIの使い勝手】

情報の把握が遊びやすさに直結するこの手のゲームではUI(ユーザーインターフェース)は重要なファクターですが、FrostpunkのUIは可もなく不可もなくといった使い勝手です。不親切な部分はとくに感じることはありませんでした。プレイしている最中ひとつだけ気になった点は、住民個人のステータスは文字で表していますが、アイコンのほうが視認性は高そうに思えました。ジェネレーター出力の調整画面と収支の管理画面はとてもわかりやすいです。


【ユーザー層】

ちょっと変わったストラテジーゲームを探してる方やマネージメントが好きな方、歯ごたえがある難易度を好む猛者や世界観を重要視する方なんかにとくにおすすめです。逆に街づくりを楽しみたい方にはおすすめしづらいです。建物の配置が生存確率に密接に関わってくるので、生存が目的となるこのゲームでは街づくりの自由度は低いと考えられます。


【総評】

総評としては「とても楽しい」です。This War of Mineを生んだ11 bit studiosだから作れた作品だろうし、他のゲームではなかなか出来ない体験がFrostpunkには詰まっています。薄めではありますが、自分の手で設計した街が大きくなっていく過程を視覚で楽しむという街づくり系ゲームとしての面白さもありますし、自分が行った行動の結果が数時間後(ゲーム内)にはわかるので、あとちょっとだけ、やっぱりもうあと一日、というような中毒性も存在します。それに加えテクノロジーや法律のツリー制による多様性が思考を楽しいものにし、何度も決断を迫られる悩ましい選択と合わさってリプレイ性が高い内容にもなっています。

バグのようなものに遭遇することもなく、マシン構成にもよるのでしょうが、終始動作は安定していました。全体的にとても丁寧に作られている印象であり、DLCの投入も予想されるのでこれからの展開にも期待できます。定価相応の価値は間違いなくあると思います。
FrostpunkのGOG.comストアページはこちらから

拙い文章になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました!

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