ステルス坊や 荒野を往く『El Hijo – A Wild West Tale』クリア感想

THQ Nordic Japan様より『El Hijo – A Wild West Tale』をいただいたので早速クリアさせていただきました。

どんなゲーム?

開発 Honig Studios、Quantumfrog、パブリッシングはTHQ Nordic傘下のHandy Games。

本作は見下ろし視点を採用するステルスアクションゲームとなる。

副題にある通り西部開拓時代が舞台。
主人公の El Hijoくん (6)は、離れ離れになってしまったお母さんと再会するため、悪党蔓延る危険な荒野を冒険する。

リリーストレーラー

カジュアルだけど核心をついた良質ステルスプレイ

『El Hijo – A Wild West Tale』がどういったステルスゲームなのか。特徴的なのは非暴力プレイであるということ。

まぁ6歳児が主役の作品で暴力的な描写をするわけにはいかないという事情もあるだろう。非暴力プレイが先行したのか後付けなのかは不明だが、ひたすら敵の目を掻い潜り続けるピュアなステルスに興じることができる作品になっている。

ステルスプレイが主体となるゲームのほとんどにおいて、非暴力という選択肢はあくまでも遊び方のひとつという位置づけではあるが、実はこれがステルスにおける醍醐味であり一番難しい遊び方だったりする。

そんなステルスプレイのコアな遊び方を提供する本作。他にどんなメカニックを有するのか、未プレイの方は気になるだろう。

実は、他に特筆すべき要素はない(笑)

屈んで身を隠したり、闇に紛れたり、音を立てて邪魔者を誘導したり…。そんな使い古された古典的なステルスメカニックしか用意されていないのだ。

補足: 花粉煙幕やオモチャで敵を誘導するといった面白いガジェットは用意されているよ。

だがこれは決してマイナス面でも、手抜きでもない。下記のストアページ紹介文を読んでほしい。クリアすればこの文言に納得できるはず。

不必要に新しいメカニックを追加すること無く、既存のメカニックのバリエーションが徐々に導入され、それらをお互いに組み合わせて難易度を高めていくことでゲームプレイは自然に拡張されていく。

El Hijo – A Wild West Tale Steamストアページより

この紹介文に書いてあることは前述したステルスプレイのコアメカニックと、それをいかんなく発揮させるための段階的な学習と難易度調整のことを指している。

この作品は、ステルスジャンルにおける最重要要素と言えるこれらの仕組みが綺麗に設計されており、クリアまで10時間に満たないであろう小粒な作品ながら、その良質なステルスプレイは太鼓判を押すに値する内容となっている。

ド直球 イズ ベスト。いざクリアしてみればそれでよかったと思わざるを得ない。シンプルだからこそ良い所がはっきり分かりやすく、このジャンルの面白さを再確認できた。逆に変化球を投げていれば真逆の感想になっていたかもしれない。

お手軽にステルスジャンルのコアメカニックを楽しめるのが本作の魅力と言えるだろう。ジャンルファンには物足りないかもしれないけど、入門者はこれ1本でジャンルの面白さを知ることができる。

それでは最後に良かった点と気になった点を挙げて締めくくろう。

良かった点

  • 美しく機能している段階的な学習と難易度調整。
  • シンプルながら上手く設計された良質なステルスメカニック。
  • ピースフルな非暴力描写。坊やとお母さんの仲睦まじさにほっこり😊
  • クリアだけなら詰まることはない難易度。実績解除等やり込もうとすると難易度が少々上がる。
  • ジャンル入門、カジュアルで手堅い1本に最適。
  • 西部劇全開なムーディな楽曲。

気になった点

  • キーボードの操作性がぎこちない。コントローラーの方が自然に動かせる。
  • ジャンルを何本も制覇してきたファンには物足りないだろう。
  • この執筆時点ではバグが散見。動かなくなる敵、地形スタック、乗ったにもかかわらずプレイヤーを置いて走り出すトロッコ。
  • よくよく考えるとストーリーの詳細が謎すぎる。