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『Orcs Must Die! Deathtrap』レビュー

    
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『Orcs Must Die! Deathtrap』レビュー

1月28日にリリースされたシリーズ最新作「Orcs Must Die! Deathtrap」をプレイしてみた!

2ページ目に本記事の内容を整理したマインドマップ(PDF)を設置しています。
文章をスキップしてそちらをご確認いただいても結構です。
スマホの場合プレビューされませんので御了承ください。

概要

強力なウォーメイジとなって、グロテスクな暴徒からリフトを守り、オーク殲滅の大混乱を楽しもう。意を決して扉の向こう側へ進めば、シリーズ作品の以下のような心躍る新機能を楽しめる。

・4人協力プレイ
・さらに奥深くなった進行システム
・ローグライクな育成オプション
・バラエティ豊かなステージとファンタジーの世界が広がる環境
・壮観な物理演算と種類の増えたオークの滑稽な死に様
・三人称視点シューティングと近接戦闘の強化

Steam ストアページより引用

ジャンルアクション・タワーディフェンス・ローグライト
日本語の有無字幕あり
価格¥3,400(Steam参考)
配信プラットフォームPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Xbox Series X|S
開発・パブリッシャーRobot Entertainment
ローンチトレーラー

ローグライトとの相性は良い!だが問題点も…

プレイ時間約100時間
プレイ時のバージョン1.0.11

全作プレイしてますが今作も変わらずOrcs Must Die!な逸品だと感じました。いつもと一味違うのが”ローグライト仕立て”となっている点。シリーズファン目線で従来作との比較も交えながら掘っていきましょう!

Orcs Must Die!ってどんなゲーム?

『Orcs Must Die!』シリーズは、軽快なTPSアクションと戦略的なタワーディフェンス要素をミックスさせたゲーム。目的はウェーブ形式で襲来するオークの軍勢から”リフト”を死守すること。準備フェーズ中にトラップの設置とバリケードによる進行経路の設計を行い、迎撃態勢を整えます。

本作ではこれらの基本構造を継承しつつ、以下の大きな特徴が見られます。

①協力プレイ重視の設計と新たな育成要素

従来作では武器やアクセサリの変更によって戦闘スタイルをカスタマイズできる仕様でしたが、今作ではその仕組みが一新。個性派揃いの7人(※現在はアップデートにより8人に)の中から操作キャラを選択し、それぞれが持つ固有スキル・必殺技・トラップを駆使して戦うスタイルへと変化しました。

全キャラ共通で備わっている能力は以下のとおり。

  • クールタイム制の2種の固有スキル
  • コンボを稼ぐことで発動する強力な必殺技
  • キャラごとの個性が反映された専用トラップ

装備の付け替えによる自由なスタイリングができなくなり一歩後退したようにも感じられますが、一方でキャラの個性が強く打ち出されており、トラップとの組み合わせや協力プレイ時のシナジーが際立つ作りになっています。

というのも、今作は明らかに協力プレイを主眼に設計されていると考えられ、例えばマップの大型化を始めとして、スキルの内容や後述するランダム要素の中にもチームプレイを強化する要素が随所に見られます。

そこには「役割分担による体験の深化」を狙った意図があるように感じられ、それゆえに装備変更によるカスタマイズは“プレイヤーの役割を曖昧にしかねない要素”として排除されたのではないかと推察しています。

ソロプレイ重視で見た場合この仕様は甲乙つけがたいですが、プレイヤーが複数人になるほどキャラの個性やマップ設計が活きてくる、というのは確かです。

最初は6人だが隠しアイテムを集めることでお馴染みのマックス大先生が追加される

次に成長システムについてですが、本作ではスキルツリーがシリーズで初採用されました。キャラ固有の能力強化はわずかで、ツリーの大半は全員共有のものになっています。その成長率は高めに調整されており、スキル取得を進めるほど強くなる実感を得やすくなっています。これはモチベの維持に繋がる部分でもあり、アップデートにより改善が図られた結果です。

“撤退と挑戦”を繰り返すローグライト構造の中で、成長のモチベを維持しやすいのは大事なことです

②タワーディフェンス色がさらに色濃く

協力プレイ人数が最大4人になったことで、マップの規模と構造がスケールアップ。それに応じて今作ではバリケードがトラップとは別枠の固定装備扱いに。それはバリケードの運用術がマップの大規模化、つまり大量の敵に対する必須対策となったことを意味します。

ただし、バリケードの配置可能な個数には限りがあります。初期バージョンではその数が明らかに足りず、それが起因となり理不尽な難易度を招いてしまっていたものの、素早いアップデートで改善。現在では経路を設計する上で概ね満足いく数が配置可能で、ゲーム進行に応じて追加できる仕組みも導入されています。

協力プレイ時は難易度の観点からバリケード数がスケーリングの対象となる

経路設計とセットとなるのがトラップの配置。トラップに関して大きな変更はないものの、今作は敵の数が多い→取得できるコインが多い→トラップをたくさん設置できるようになっています。

経路設計・トラップ配置というタワーディフェンス的部分を担う2大柱の存在感が増したことで、シリーズ中で最もタワーディフェンス色が濃い作品になってるといえるかもしれません。

③ローグライト

本作最大の特徴といえるのが、ローグライトなゲーム進行ビルド要素の導入です。ゲーム進行についてざっくり流れを説明すると…

  1. ハブエリアからランダム提示された3つのマップから1つを選んで出撃
  2. 6ウェーブ終えるとクリア
  3. 報酬の半分を支払うことで次のマップへ進める(リフトの持ち点は継続)
  4. 撤退を選ぶとその時点での報酬を持ち帰る
  5. 一定数マップを連続クリアするとボス戦。勝利すると帰還して次のボスルートへ

ボス含め攻略は一筋縄ではいかず、撤退と再挑戦を繰り返す、まさしくローグライトなリプレイ性を持つ進行方式となってます。注目すべきはその随所に選択する形で差し込まれる“蓄積するランダム効果”の数々。プレイ中、以下のタイミングでそれらが登場します。

  • マップ選択の際、ランダムなデバフが追加(強力な敵の登場など)
  • 次マップ進行時にはランダムなバフが追加(バリケード数上昇やトラップコスト減少など)
  • 毎ウェーブ終了時に「スレッド」と呼ばれるランダム効果を選択(トラップ強化、新能力追加など)
獲得したバフとデバフは帰還するまで蓄積されていく

これら数々の選択と積み重ねを経て徐々にビルドを構築していきます。とくにスレッドは戦術の方向性を左右するユニークで強力なものが数多く用意されており、活路を切り開く推進剤としての役割を果たしています。

数々のランダム生成要素がもたらす偶発性の中に勝機を見出すのがローグライトの面白いところですが、OMDに乗っかる形でもそれは確かに味わえました。やはり選択の回数をどんどん刻めるウェーブ形式と相性が良いですね。OMDに取り入れたのは正解だったと思います。

④問題点

リリース当初に指摘されていたバリケードの所持数や報酬まわりの調整不足は、素早いアップデートによってきっちり改善されました。ローグライト要素との相性も良好で、プレイを重ねるごとにいろんなキャラでいろんなビルドを試したくなる。そこにハマってしまった私としてはシリーズ中もっとも楽しめた作品になりました。

とはいえ、そう感じられたのは私がOrcs Must Die!シリーズを知っていたから、というのが大きい。
今作で導入された様々な要素や変化に注目し、面白いと受け止められたのは、ベースの理解が済んでいたからなのです。

それは裏返すと、シリーズ未経験のプレイヤーがいきなりこの作品に触れると、かなり苦戦する可能性が高いということ。理由は単純で、ベースを学ぶ機会がほとんど与えられないまま、従来作での後半レベルに相当する大きくて複雑な戦場にいきなり放り込まれるからです。

ここで書いてるベースとはシリーズ共通の勘案事項、例えばトラップの有効性、経路設計、敵のタイプごとの対策などを指してます。それらの相互作用を従来作ではステージ難易度の段階的な上昇に応じて把握できたのですが、本作はそれを通過してるのを前提としてローグライト要素を提供しているように感じられます。

ビデオチュートリアルが用意されてはいるものの、それだけで土台を築くには心許ない。要素を小出しにし、段階的に体験させていくような仕組みを序盤に取り入れるべきだったのでは?と思いました。

シリーズの新たな挑戦

「Orcs Must Die! Deathtrap」は、シリーズの根幹であるタワーディフェンス×アクションの面白さをしっかりと継承しながら、ローグライトという新たな挑戦に踏み出した意欲作です。リリース直後の調整不足など一部課題はあったものの、迅速な対応により現在では完成度の高いゲームに仕上がっています。

上述したようにシリーズ初心者にはやや厳しい面もありますが、”毎回異なる戦場に毎回異なるビルドで挑む”という新たな刺激が加わったOMDは私にとっては大いに歓迎できるものでした。

シリーズの新たな方向性を示した「Orcs Must Die! Deathtrap」は今もなお継続的なアップデートによりコンテンツ追加とQoLの改良が図られています。もしかすると前述の問題点にもテコ入れがあるかもしれませんね。今後の動向にも注目です。

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