ときめきを感じざるを得ないコロニーシム「King under the Mountain」アルファ1.0紹介

PCインディーズゲーム配信プラットフォーム itch.ioにて先月アルファ1.0版のリリースが開始された新作コロニー建設シム「King under the Mountain」を数日間プレイしてみたので紹介と感想をば。個人的にすごい気になってたんですこれ。

❏概要

Rocket Jump Technologyが現在開発中のファンタジー世界を舞台とするコロニー建設シミュレーションゲーム。2017年にKickstarterで資金調達に成功。現在itch.io、もしくは公式サイトにて最低額$20.00から購入可能(公式サイト利用でもitch.io決済)ですが、2019年内にはSteamでも販売が開始される予定。itchアーリーアクセス版購入者にはSteamで配信開始された際にSteamキーが配布されるとのこと。

記事執筆時点での最新バージョンはアルファ1.1。公式サイトにてロードマップが公開されていますが、スケジュール変更の可能性は大きいとし、およそ5年ほどの開発期間を見込んでいるそう。フレンドリーなModサポートも特徴。

Youtube:https://www.youtube.com/watch?time_continue=16&v=DgPhzHT0QlY

❏ざっくり基本システム紹介

ここから先は実際にプレイしてみて把握できた事柄を紹介。このゲームはまだアルファ版の初期段階ですので、今から記載する内容は今後のタイトルアップデートを通して変更される可能性があることをご了承ください。

前置きになりますが、私はitch.ioで配信されている作品をプレイする際は公式に提供されているitchクライアントを利用しています。このクライアントはインストール済みのライブラリ内ゲームを自動アップデートしてくれる上に日本語化もされているのでとても便利。

ですがアップデートにより古いバージョンのセーブデータが読み込めなくなる可能性がある点にご注意。私は一度遭遇しましたが、アーリーアクセスなのでこればかりは仕方がありません。回避したい場合は自動アプデをオフにするか、itch配信作品はDRMフリーなので以前の該当バージョンを保管しておくように。

タイトル画面

初回起動時にバグレポートするかどうか尋ねられます。許可するとOS、ディスプレイ設定等のマシン構成が送信される模様。これは任意なのでお好きになように。タイトル画面では言語切り替えができますが現時点で選択できるのは”英語”のみ。オプションはフルスクリーン/ウィンドウモード切り替え、解像度、UIスケール、BGMボリューム程度の設定項目しか用意されていません。操作キーコンフィグはまだありません。オプション周りはいずれ充実していくことでしょう。

ゲーム内容

本作は入植者であるドワーフ達がプレイヤーの指示に沿った行動を取り、土地を開拓し集落を発展させていくシミュレーションゲーム。プレイヤーが行う操作は以下の3種類。ドワーフはこれらの操作に沿って自動で行動します。現状はこの手のジャンルでできる基礎的なことしか行えません。

  • Orders(命令): 石の採掘、木の伐採、草むしり、キノコの採集などの命令をマップ上にマーカー指定して行います。
  • Build(建築): 壁、扉などの建築パーツを選択しマップ上に配置(設計)します。建築パーツは石、木などの素材を選択可能。
  • Zones(区画): 様々な役割を持つ区画をマップ上に配置できます。採ってきた素材の集積所、種や野菜の保管場所、畑、寝床、キッチン、食卓、工房など。区画を設けた後は、その区画に適した家具、作業台などが設置可能になります。

    3年目の春を迎えた我が集落。資源を追い求めた結果、横方向への拡張が著しい。

ゲームを開始するとドワーフ7人と、道具として使える桶・樽、資材として使える木材・石材・金属がある程度揃っている状態でスタート。ドワーフ達は各々、農作物の種と非常食、仕事道具を所持しています。

Rimworld、Prizon Architect のようなビジュアル。このジャンルで、なおかつ少人数態勢での開発効率を考慮するとこのようなアニメーションをほとんど含まない2Dスタイルは理想的らしい。

ドワーフに作物を育てさせ、メシを作らせ、寝床を設けさせ、やがて来る新たな入植者の一団を迎え入れる準備をさせる必要があります。ドワーフに従事させる仕事は採掘・農業・大工・料理などいつでも切り替えられますが、スタート時の7人はそれぞれバランスよく職業が振り分けられているのでまずはデフォルトのままでいいかと思います。

時間の経過による昼夜が存在し、ドワーフは昼は働き、夜になると就寝します。天候変化はありませんが(そのうち実装予定)、四季が実装されており、ひとシーズン10日(ゲーム内時間)で季節が巡ります。春からスタートし、1年後の春を迎えると新たな入植者の一団がやってきます。

一度に10人以上やって来るのでベッドと食卓の準備くらいはしておこう。

操作方法

チュートリアル的な説明は一切ありませんが、操作系統に関してはシンプルなので適当にポチポチしていればこの手のジャンル初心者の方でも把握するのにそう時間はかからないかと思います。簡単に操作方法を説明。

  • 左クリックで決定、右クリックでキャンセル。
  • WASDキーでスクロール。
  • スペースキーで時間の流れを止め、数字キーもしくは該当UIアイコン(画面右上)をクリックで1~4倍速まで時間の流れを早める。
  • Rキーで設置可能な家具、建築物の回転。
  • マウスホイールで画面拡大/縮小。
  • ESCキーでタイトル画面に戻る。その際に自動保存される。
  • F5でクイックセーブ、F8でクイックロード。

今のところこれくらいしかありません。個人的には各ショートカットキーやユニット送り操作を追加してほしいところ。UI環境含めいずれ充実していくことでしょう。

マップ環境

木、石、鉱石、川などを有するマップ環境はニューゲームする度に完全ランダムに構築されるので、好みの環境が出るまでガチャし続けることが可能(ほぼローディング無しで回せる)。ですがそこまでしなくともプレイ不可能なほど滅茶苦茶なマップ構成に当たるということはほとんどなく、ほどほどにバランスのとれた構成になるよう調整されています。スタート時のマップ環境についてはそのうち自由に設定可能になるそう。

平野部と山岳地の割合は毎回ほぼ50:50になる。

現在のマップ構成の特徴としてマップの端から端まで流れる川と、半々の割合で構築される平野と山々が挙げられます。どの環境も同じくらい重要なロケーションですが、その重要さの比重は今後のアップデートで変化することが予測されます。飲用の水源として機能する川は近ければ近いほど集落の発展速度に関わってきますが、今後のアップデートで地下水の確保が可能になること、そして”屋根”の未実装により平野部で住居が完成させられず、住居は山中に設けるしかない現在のバージョンの問題点がいずれ解決されるためです。現状の山暮らしの強制はいかにもドワーフらしいのでそれはそれで趣があっていいんですが、畑は平野部にしか作れないので、どちらの環境でも生活できるようになる必要性が感じられます。

川に橋を架ければ向こう岸へ渡れるようになる。

けれどもやはりドワーフと言えば山。現在のバージョンでは山の開拓がメインコンテンツと言っても過言ではないので触れておきます。

山々の輪郭はゲームスタート時点からいつでも確認できるのですが、内部構造に関しては実際に掘り進めてみないと分からない仕様になっています。ここがこのゲームの面白い要素で、掘った先に大小の空間や鉱石群が見つかることがありちょっとした探検気分が味わえます。現時点では特筆すべき発見はありませんが、後々モンスターが出現したり、さらなる未知との遭遇といったイベントが追加されていくとのこと。こういったわくわく要素は個人的にすごい力を入れてほしいと思っている部分で、同ジャンルの他の作品との差別化に繋げてもらえたら嬉しい。

キノコが自生する広大な空間を発見。キノコ栽培部屋として再利用した。

ただし山の採掘は楽しいだけでなく危険も伴います。山中に広大な空間を人工的に作ってしまうと崩落する危険性があるからです。崩落事故に巻き込まれたドワーフは死亡してしまいます。この手のジャンルで働き手の損失はできれば避けたいもの。そのためには空間内に崩落防止用の”柱”を設置していく必要があります。ゲーム中に詳細な説明が出てこないため柱1本あたりの有効範囲は未確認ですが、私は5マス間隔で柱を設置しており効果はおそらく表れているのではないかと思っています。採掘を順調に進めるためにも柱設置の癖は付けておいた方がいいかも。

崩落事故が起きるとメッセージで教えてくれる。巻き込まれた施設は消滅してしまう。

ユニットがドワーフなので採掘がメインの作品かというと、そういうわけでもなく、たしかに現時点ではドワーフしか実装されていませんが、本作のユニットには人間・オークなどがプレイアブル種族として登場することが伝えられているので、製品として完成した暁には幅があるプレイ内容にも期待できそう。ゆくゆくは戦闘ユニットといった新要素がどんどん追加されるということなので現状とはまた違うゲーム性になることが予想されます。

ちなみに「Dwarf Fortress」に代表されるような”Z軸への拡張”要素は取り入れないと明言されています。

ドワーフについて

ドワーフをクリックすると個々のステータスが見れます。名前、現在の行動、持ち物、幸福値、幸福値に影響している要因が確認できます。

鍛冶と採掘作業が割り当てられている。他にも仕事道具、ニンジンの種12個と非常食50個、幸福値が「移住に前向き」という理由で+40になっているのが確認できる。現在とっている行動は Idle(休憩)。

他に確認できるのは健康状態を示すパラメータである「Sleep(睡眠)」、「Food(食事)」、「Drink(渇き)」の3つ。ベッドで寝れなかったり、空腹状態や喉の渇きが続いたりすると幸福値にマイナス効果が付きますが、幸福値が生活する上で具体的にどのような影響を及ぼすのかはプレイ中に把握できませんでした。ひょっとしたら作業効率に影響が出るのかもしれません。健康パラメータが0になってしまうと死亡してしまうので注意が必要です。

自分で建てたオブジェに挟まれ身動きが取れなくなったドワーフ。気付いたときにはすでに飢餓状態&脱水症状で幸福値が-100になっており、間もなく彼は息絶えた。AIによるおバカな事故を防ぐためにも建築は計画的に。

食事・水・睡眠

健康の維持には食事と水分補給は必須。食事を提供するにはまず調理すべき食材を入手しなくてはいけません。幸いにもドワーフは最初から農作物の種を持っているので畑を耕せばそれを育てられます。ニンジンは収穫までの日数が比較的短いのでオススメ。

収穫すれば種も当然手に入る。

初収穫までの間の食事はどうすればいいのかという疑問が沸くかもしれませんが、ドワーフは最初から「rockbread rations」という何やら硬そうな乾パンらしきものを持ち歩いており、腹が減ったら勝手に食うのでしばらくは心配いりません。釣り竿や狩猟用ナイフといった道具がゲーム内で確認できますが、釣りと狩りは現時点ではまだできない(実装予定)ので今のところ食物の入手は農業一択。小麦を収穫できればそこから製粉→パン焼きと調理に繋げることができます。料理はパンと各素材のスープくらいしか実装されていません。

パンは食卓に並べられスープは釜で提供される。汲んできた川の水を入れた樽は水飲み場として利用される。川の水を直飲みすると幸福値にマイナス効果が付いてしまう。

次は睡眠について。夜になるとドワーフは勝手に寝ますが、ベッドルームが無い状態だと野ざらしで就寝してしまい、幸福値が大きく減少してしまいます。なので部屋を用意した上でベッドを作る必要がありますが、現在のバージョンではいくらかこのシステムに制限が生じています。

マップ環境の項でも触れましたが、現状、壁と扉しか設置できず、屋根が実装されていないため屋外となる平野部で”部屋”を完成させることができないのです。屋外でも就寝区画を配置すればベッドを作れるのでドワーフの”ベッドで寝たい”という欲求を満たすことは可能ですが、屋根が無い状態で寝ることは野ざらしで寝ることと変わりない状態です。これを解消するには山を掘り進め、その内部を”部屋”とし就寝区画を配置するしかありません。そのため屋根の設置ができない現状では、寝床の確保はどうしても山の中になってしまうのです。

ちなみにドワーフは1つの区画内に複数人で寝るのを嫌がるので、就寝区画は細かく区切るようにした方が良いです。その際、空間を多数作る必要はなく、1つの空間に区画をいくつも配置する形で構いません。

暗くてわかりづらいがベッド周りのオレンジの枠内が就寝区画。こういう形で区切ればパーソナルスペースは確保される。

❏プレイ感想とロードマップ

このジャンルに少しでも触れたことがある方ならさくさく進められるかと思います。なぜなら現状コンテンツ不足によりジャンルにとっての基礎的部分しか体験できない上、難易度的にも詰むようなことはほとんどありませんので。上記で触れたこと以外にもいろいろできることは存在するのですが、20ドルのゲームとして成り立つギリギリの内容を保っている程度しかありません。

でもそれは全てリリースされたばかりのアルファ版だからです。判断材料の少なさ故、現状のプレイのみでこの作品に対して何かしらの判断を下すようなことはできません。ですが基礎は間違いなくよくできており、十数時間プレイしましたが、多少なりともジャンル特有の中毒性を味わうことができました。これから先ロードマップに記されている通りに開発が進めば、ジャンルを代表する名作へと昇華する雰囲気すら漂っています。今後どのようなものが追加される予定なのか一部抜粋したものを挙げます。

  • 人口、生産、備蓄の管理
  • 複数セーブ(現在はセーブスロット1つ)
  • 醸造、酒場
  • ドア開閉レバーや感圧板などの機械装置とその自動化。
  • 液体輸送のための地下パイプとそれに伴う床下ビュー。
  • 貴族とその要求。貴族は不条理な要求をするが居住地の名声を高めるボーナスを持つ。
  • 火災。可燃物の取り扱いに注意が必要となる。
  • 怪我と健康の詳細化
  • 戦闘、軍事的要素。盗賊や他文明からの襲撃。要塞の構築。
  • 野生動物、肉料理。
  • 森林保護区域とそこに住むエルフ(非プレイアブル)。
  • 溶岩とマグマ。危険だが高度な製錬が可能になるメリット。
  • 攻撃要素のないピースフルモード

これらはSteamリリースまでに実装する予定だそうです。Steamアーリーアクセス開始後の予定は以下。

  • 新バイオーム
  • スタート時の資源、マップをポイント消費制で設定できるように。
  • 農業の高度化。肥料や休耕による土壌管理、水路、パイプによる灌漑。
  • トラップと機械装置の高度化。
  • 食品の劣化。箱や袋に入ってない作物は腐敗が速くなる。冬季は凍結するため塩漬けや燻製に頼ることに。
  • 家畜の飼育
  • 隊商の訪問。トレードができるようになる。
  • 地下水源
  • モンスター討伐によるクラフト用素材の収集。モンハンに触発された模様。
  • 出産
  • スキルレベル。タスクの成功と生産物に影響。
  • ルーンクラフト。エンドゲームコンテンツのひとつ。武器などに魔法を付呪。
  • 他の種族と文明
  • 敵を捕虜にできるように。
  • 法と正義。軍は法を犯した入植者に警察行動をとれる。

他にも魔法使いや悪魔の登場、レジェンダリー武器、錬金術、カルト教団、住民同士のコミュニケーション等々盛りだくさん挙げられています。ベータ版移行の際は非同期マルチプレイヤー、ターンバトル導入、新天地を目指す”強くてニューゲーム”の実装も予告されています。

これから長い目で見守っていく必要はありそうですが、ときめきを感じざるを得ない期待作となっています。GOG.comとHumbleストアでのDRMフリー版リリースも視野に入れているそう。久し振りに応援したいアーリーアクセス作品に出会えました。完成が待ち遠しい!

参考・情報元 http://kingunderthemounta.in/